白装束の集団
投稿者:赤壁二世 (13)
と、思った矢先。
バン!バン!
助手席の方のドアにこけしの被り物を被った奴が手を叩きつけてきた。
「わあああああああ」
唐突に現れたこけしの被り物を間近で見て、俺は心臓が飛び出そうな程口を開けて叫んだ。
つか、心臓が破裂するんじゃないかってほどびびった。
パニックのせいで手足が泥酔した様に狼狽えていて、ハンドルを握る手もアクセルを踏み込む足も思うようにピントが合わない。
すると、更に後部座席の方からもバン!と音が聞こえたかと思えば、続けざまに運転席の横、つまり俺の真横にも例の集団の一人が姿を現し窓を執拗に叩いてくる。
「うわあっわあああ!」
(これはマジでヤバイ、殺される!)
そう思いながら、俺はアクセル全開で空転するタイヤの音を耳にしながらジェットコースターの如く発進し、その場から決死の思いで逃げ出す。
今後は途中停車せず、俺は麓まで速度を落とす事無く走り続けた。
恐らく今しがた車を叩いた集団は最初に山奥で見た集団とはまた別の集団だろう。
仲間には違いないが、流石に山奥にいた集団が走って追いつける訳がない。
となれば、離れた位置にもうひと塊の集団が存在していた事の方がしっくりくる。
つまり、俺の考えが間違っていなければ、あの集団がまだ他にもこの峠に潜んでいる可能性があるという事だ。
だから俺は麓まで休まずに車を飛ばした。
そして、街の象徴でもあるネオンの明かりが見えてくると、俺は漸く一息つく事ができた。
ふと時計に目を落とせば俺が峠に侵入してからそれほど時間が経っていない事がわかった。
このまま飛ばしてもバイト先には五分程度遅刻するくらいで済むだろう。
そして、ついでにカーナビを見やるといつの間にか正常に起動してルート案内を映していた。
全くもって役に立たないナビだ。
人が一番困っている時に使えない癖に、と俺は機械に対して愚痴を零す。
そうして集団から逃げ切った事と峠から抜け出して街の入口が見えてきた安心感から、俺は大きく溜め息をついた。
だが、ふと何かが視界に入ったと思いガードレール越しに脇道を眺めると、そこに例の恰好をした人物が一人佇んでいるのが見えた。
白装束にこけしの被り物。
手にはスマホか何かを携えて、まるで電話を掛けている様な体勢でこっちにこけしの表情を向けて佇んでいる。
不思議と俺は速度を落としながらそいつから目が離せなかった。
何故ならそいつは確実に俺の車を視線で追いかけていると確信できたからだ。
そう。
まるでスマホを使って仲間同士連絡を取っているといわんばかりに俺の方を見て。
いや、見送っていた。
無事に帰れたのでしょうか…?
パナウェーブみたいなものですかね…
若い人は知らないか(笑)
こんなやつら本当にいたら怖すぎる
通い慣れた通勤路でカーナビ使うかな…?
到着時間とか、渋滞情報とか知りたいので慣れた道でもナビ入れます。
あと、暗い山道だとちょっとでも音声がある方が眠気覚ましになったりとかも