ある探偵からの報告

中身？
怖くて開けてねぇよ

全然関係ないものじゃないのかって？

でも、その荷物が届いてから、俺はあいつの夢ばかり見るようになったんだよ

ずっと太田の夢を見るんだ
太田の声がその段ボールから聞こえてきて、「出してくれ。出してくれ」って言ってるんだ
ガサゴソガサゴソ段ボールが動くんだ
うわぁぁ！！　と叫んで夢から醒めると、玄関に置いておいたはずの段ボールが俺のベッドのすぐ横に移動していて、段ボール全体がボコボコになっている

俺は怖くて段ボールにガムテープを何重にも巻いて、押し入れの奥の奥にしまったんだけど、またその日の夜に太田の夢をみて、「ひどいじゃないか。出してくれよ。助けてくれよ」と叫ぶんだ

朝起きたら、押し入れにしまったはずの段ボールがまた俺のベッド横にまで移動しているんだ。グルグルに巻いたはずのガムテープはボロボロに破れていて、箱は今にも壊れそうなんだ

俺は家から飛び出してあれから帰ってない

あの中から太田が飛び出してきそうで怖いんだ

あれからずっとまともに寝てない
次寝たら、きっと夢の中で段ボールが開いて、起きたら太田がいて、俺は殺されるんだ

なあ、助けてくれよ
助けてくれよ
なあ
なあ、頼むよ。
助けれくれよぉおおおお

・・・以上が先週末から行方不明になっている米倉君の電話の録音音声です

彼の友人に話を聞いたところ、隣県の廃病院に肝試しに行ってきてからおかしくなったとのことです

今、聞いて頂いたのは、米倉君が失踪直前に友人に電話してきた時のものです

その友人はあまりに米倉君の様子がおかしかったので、途中から録音したとのことです

それで彼の言う段ボールですが、彼が住むアパートを捜索した時にそれらしきものを発見しました

お母様はその時一緒にいましたから、覚えていらっしゃいますよね

それはリビングの真ん中に置いてありまして、かなり変形した状態で中は開いていました
ガムテープで何重にも巻いた跡もありました

で、その中身ですが、カルテが入っていました

ええ。カルテです。病院で使うカルテ
そのカルテには太田という人物の情報が載っていました

太田悟　男性
米倉君が言っていた太田とはこの人物のことでしょう

で、ここからはお母様にも初めてお伝えする話なのですが、この太田悟は18年前に亡くなっているんです