違和感だらけの部屋
投稿者:ぴ (414)
そしたらみるみる私は元気になって、前の自分を取り戻していきました。
そして友達に「あの部屋に住みだしてからおかしいよ」と言われて、やっと自分が少し精神的に弱っていたこと気が付いたのです。
確かに今までの自分とは違って後ろ向きな考えをするようになっていました。
こうして自分がおかしくなり始めたあの部屋と決別する気になったのです。
私が引っ越しで部屋を出ていく日に、私は部屋の前でしゃがんでいる女の子を見ました。
マンションの前でうろうろしている子供が心配で私は声をかけようと思ました。
そしたら隣の部屋からぬっと女性が出てきて、「みよ、早く入りなさい」とその子を部屋の中に促しました。
その子はおどおどしながらちらっと私を見て家に入っていきました。
親は髪が長い女の人で、髪に隠れて顔はよく見えませんでした。でも扉を閉める直前にこっちを睨んだ気がして、ぞくっとしました。
みよというその名前が偶然にもあの手紙の送り主と同じだったことに、私はちょっとドキッとしました。
そっちに気を取られてそのときは違和感に気づかなかったのですが、その家族が入っていった部屋には浪人中の大学生が住んでいたはずなのです。
そのことを私はしばらく後になって思い出しました。
今思えば親子の服装はまるでタイムトリップしたかのように昔風だった気がします。
あの親子は誰だったのかいまだに私には分かりません。
あの部屋で暮らすのをやめてから私は次第に元気を取り戻し、サボり癖が直り、仕事にもしっかり身が入るようになりました。
友達も元の私に戻ったことで安心してくれました。
あの部屋がどういう部屋だったのかは分かりません。
ただあの部屋に住み続けなくて良かったと思うし、浪人生だという隣人だった人が今どうなっているのか心配です。
母親から虐待を受けていた子供と、その母親の霊だったのだろうか?