ココの夢
投稿者:びぃ (5)
短編
2022/06/28
07:37
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私が12歳の頃、我が家に子犬の柴犬ココがやってきました。
人懐っこく、家に人が来ては嬉しくて、うるさく吠える始末のココでしたが、どうも父とだけは波長が合いませんでした。
父は実のところ動物が苦手でしたが、私たち子供らの懇願に負けてココを迎えることにしたようです。
たまにココを連れて散歩へ出掛けることもありましたが、指を噛まれたり、怒鳴り合って口喧嘩(?)をしていることのほうが多かったかもしれません。
それから、十数年ばかしが過ぎ、私たちは皆家を出て、父と母もまだ働いていたこともあり、ココを世話するのが難しくなっていました。
ココも老犬になって落ち着いたこともあり、近くに住む祖母が引き取りたいということで、ココは祖母と暮らすようになります。父はどこか気が晴れたような感じでした。
そして、数年後のある日、父から突然連絡がありました。「ココが亡くなった」と。
直前まではいつも通りの様子でしたが、急死したようであり、動物病院の医師からは寿命だと告げられたそうです。
ココを見送るために家へ帰ったとき、父から不思議な話を聞きました。
「ココが亡くなる数日くらい前から、ココが毎日夢に出てくるようになった」と。
ココと折り合いの悪かった父でしたが「ココがいてくれたおかげで家庭が明るくなった。もしかしたら、最期に仲直りがしたかったのかもしれない・・」と言っていました。
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