バスに乗った時の話
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
僕の家族は、お盆の季節になると家族でお墓参りに行く習慣がある。
しかし今年に限っては、両親は仕事の都合でどうしても行けないらしい。
だから今年は僕だけでお墓参りに行くことになった。
いつもならその墓地までは父の車で行くのだが、今回は電車とバスを使わないといけない。
この時期には駅から墓地までの臨時バスがあり、それに乗れば簡単に行けると父から聞いていた。
その日になり、電車で4駅先で降り、バスに乗り換えた。
僕は運転手の真後ろの席が好きなのだが、運よくそこに座ることができた。
父から聞いていた通り、駅から40分ほどで墓地へと着いた。
墓地の正面入り口の脇にはバスの停留所があり、そこで降りて親族の眠る墓へ向かった。
僕はいつもの通り、墓石を雑巾で拭きあげ、持ってきた花を生け、線香を上げて手を合わせると、もうやることが無いので早々に帰ることにした。
正面入り口の停留所へ戻ると、駅へ行くバスが待機していた。
その時期だけの簡易的な時刻表を見ると、もうバスが出発する時間になっていた。
僕はバスに飛び乗ると、まるで僕を待っていたかのようにすぐにドアが閉まった。
ふう。
何とかバスに間に合ったという安堵感もあり、また運転手の後ろの席へと座った。
「発車しまーす」
という運転手の声が聞こえるとバスは動き出した。
乗客の話し声が後ろの方からずっと聞こえていたが、乗る時に急いでいたせいか、その姿を見ていなかった。
話し声の感じからすると、後ろの方の座席に5~6人ほどの乗客がいるようだった。
まあ、だからと言って特に気にするわけでもなく、振り向くほどの事でもなかった。
駅まではしばらくあるから、スマホでSNSやニュースを見ていた。
15分程走った頃だろうか、
ピンポーン
誰かが降車ベルを鳴らしたようだ。
バスはスピードを落とし、バス停で止まってドアが開いた。
ところが誰も降りない。
ドアが閉まり、また走り出した。
これは後ろの客が間違えて押したか、子供の悪戯かもしれない。
こんな事は時々あるから、特に気しなかった。
しばらく走っていると、また
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