一人多いホラー鑑賞会
投稿者:ぴ (414)
しかし、その途中で誰かが「あれ?コップの数多くない?」と言い出したのです。
ふと見ると、後から足したコップを含めるとコップが全部で6人分あります。
コップに注いだジュースはすべて飲み干されていたのですが、不思議なことに集まった人数よりも一人分多かったのです。
私が「私間違ってなかったんじゃない?」というと、友達もみんな「最初の5つで足りてたね」と言いました。
そして誰が1つ多く飲んだのかと探ったのですが、誰も名乗り出ないのです。
最初はホラーな雰囲気を醸し出すためにわざとやっているのかと思いました。
しかし、最後まで犯人が名乗り出ることはなくて、変な空気になりました。
そして友達の一人が言い始めたのです。
「でもさ確認したときにみんなでコップ持ったじゃない?そのとき6人いなかった?」と言い出したのです。
私も思い返してみたら6人くらいいたような気がしました。
その一言でざわめきが起こり、「なになに?まじのホラー」「え、怖い怖い本当に怖いって」ときゃあきゃあ言いました。
その日は最後まで、犯人が名乗り出ることはなくて、本当にホラーじゃないかと盛り上がったのです。
そんな感じでワイワイと楽しく鑑賞会が終わると、みんなで食べたものを片付けて、それから暇だから文房具屋さんに行こうと出かけたのでした。
そのときはまさか翌日こんなことになるとは想像もしていなかったです。
あまりにも急な出来事に、私たちは悲しみに暮れることになったのでした。
翌日に学校のホームルームでショッキングな出来事を聞きました。クラスメイトが亡くなったと言うのです。
しかも私の仲が良かった友達の一人であの日一人だけホラー鑑賞会に参加できなかった子でした。
そう突然用事ができて遊べなくなった子が交通事故に巻き込まれて即死。帰らぬ人となったのです。あまりのショックで私は友達と一緒に泣き崩れました。
その帰りに私は昨日の違和感を思い出したのです。
私が昨日、ジュースが足りないという子に「ありがとう」と言われたとき、うっすら違和感がありました。
思い出してみたら、その声が亡くなった友達の声にそっくりだったのです。
だから私は薄っすら違和感を抱いたのだと気づきました。
電気を消していたので暗くてきれいに相手が見えたわけではありません。
でもその声が亡くなった友達の声に似ていた気がしました。
後日になって分かったのですが、友達が交通事故で即死した時間は私たちがホラー鑑賞会をしていた時間とほぼ一致していました。
あの日、あの場にいたのは友達5人ではなく、きっと友達6人だったのだと思います。
だからジュースが足りなくなったのでしょう。友達は用事ができて私たちとホラー鑑賞会に行けなかったことが心残りだったのではないでしょうか。
最後の最後に私たちの一緒に騒ぎたかったのかもしれません。
部屋暗くしてホラーって勇気ありますね。私は、いまだにお化け屋敷はいれません。