自動販売機の顔
投稿者:ぴ (414)
短編
2022/06/23
11:22
979view
あれは田舎のおじいちゃん家に行く途中の道で、のどが渇いたので自動販売機にジュースを買いに行きました。
車の中で寝ていたので、ボケーっとしてジュースを買いました。お金を入れて、ボタンを押して確か買ったのはオロナミンCとか炭酸系の飲み物だったと思います。
カコンっとジュースが落ちてきたのを確認して、私は手を入れました。
そしてしゃがんだときに自分の顔の右のほうにズボッと何かが出てきたのを目の端に捉えました。
何かと思って身を引いたのです。
そしたら自動販売機の下に人の顔のようなものが浮かんでいるのが見えました。
人って本当にびっくりしたときには叫ぶんじゃなくて、呆けてしまうみたいです。
私はしばらくその顔を見ながらぼけ~としていました。
そしたらその顔は次の瞬間にボワンとまるで自動販売機に吸い込まれるように消えてしまいました。
理解が及ばずにしばらくの間は呆けていた私ですが、ハッとして慌てて車に乗り込み両親に先ほどの話をしたのです。
しかし、両親は「何寝ぼけてんの?」と私の話をまともには聞いてはくれなかったです。
私が見たものは何だったのでしょうか。白昼夢を見たのでは?と思うこともあります。
しかし、あまりにしっかりと記憶に刻まれています。
もうずっと昔のことで顔は朧げになってしまいましたが、あの皺くちゃの顔はどこかで見たことがあるような気がして、今も小骨が刺さったかのようにモヤモヤしています。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 10票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。