五十物語
投稿者:八尺マン (47)
俺らはお寺の講堂に入った
中は広く静かで中々雰囲気があった
俺たちはそこに円になって座った
「さて、今日は集まってくれてありがとう。今日はこのオカルトサークルで初めての大規模イベント、五十物語をやります。
ご存じの通り、百物語の簡易バージョンです。それぞれ一人ずつ怖い話をしてもらいます。それを五十話まで行う。
そういったイベントです。皆さまが用意した怖い話を披露してください」
今回の参加者は主催者含めて十名
つまり、一人五話分話すことになる
「では、早速始めましょう。まずは私から。そこから右回りに話していきましょう」
俺は主催者の左隣に座っている
つまり、俺がトリということだ
五十物語はつつがなく進んでいった
みんな怖い話を雰囲気たっぷりで喋っていった
さすが、こういうのに参加するだけあって、どれも怖い話ばかりだった
俺は少し後悔していた
俺の話はどうも怖くないのだ
反応がどこか乾いたもののように感じた
どうかに次で挽回しようとして、あまり受けなくて、次こそはと挑んで、またあまり受けなくて・・・
そんなこんなで、次で最後になってしまった
つまり五十話目
最後のトリだ
このままじゃまずい
せっかく参加したんだ
最後くらいはみんなが怖がる話をしたい
だが、すでに自分の中で話せる怖い話がなくなってしまった
俺はこのイベントのために怖い話を五つどころか、七、八つくらいは用意していたのだが、他のみんなが似たような話を先にしてしまったりして、
ストックが完全になくなったのだ
だが、最後の最後で話す話がありませんでは、最高に白けてしまうだろう
こうなったら、今、この場で怖い話を考えるしかない
えーと、えーと、何かないか
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