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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

何者かが住んでいる部屋
長編 2022/06/10 23:21 3,010view

おそるおそる後ろを振り向いたけど、何もいなかったです。もうこれだけで私はおそらく顔が青ざめていたし、怖くなってきていました。

恐怖をじわじわと感じて、親友に続いてリビングに行ってみたのですが、もちろん誰もいませんでした。

けれど、次の瞬間親友が言った一言で話が変わります。

親友は「あれ荷物が片付いてる」って言ったのです。

何の話かよく分からなくて、聞き直してみると、ダンボールのガムテープを剥がして詰め込んでいた服を片付けようとしたところで私が家にやってきたみたいです。

それで途中で放置していたのに服が半分くらいクローゼットにかかっているって言いだしたのです。

私が「冗談やめてって!怖がらせようと嘘ついてるんでしょ?」と慌てて聞いてみたら、「え~、私の勘違いだっけ?」と困惑しているようでした。

その日は友達が料理を作ってくれると言ってくれたのですが、私はここから少しでも離れたくて、なんとか近くのファミリーレストランで食べることで手を打ちました。

そして友達の家に帰ってきて、寝室に籠りました。

リビングで話せば良かったのですが、私はどうしてもあのお札が気になって、お札のある部屋のほうが安心して話せました。

そうしてしばらくは何事もなくくつろいだのですが、あの恐怖の時間がやってきたのです。

私はお風呂に入ることになりました。さすがにお風呂に入らずに友達の新居で眠るわけにはいかずに、さっと入って出てこようと思ったのです。

こうして入浴したのですが、その際に奇妙な視線を感じました。

お風呂に入っている間、どこからともなく視線を感じるのです。

見られている圧迫感というか気味の悪い視線をずっと感じました。髪や体を洗うときもずっとそれが続き、気持ち悪くて仕方なかったです。

思わず桶を落としてその音でびくつくという失態も犯してしまいました。

お風呂から出た後も、その変な視線はずっと続いて、私は入れ替わりに親友がお風呂に入って出てくるまで、ずっと緊張感があるまま寝室で待っていました。

そんなときに、友達の家の電話が鳴ったのです。

短かったら良かったのですが電話がしつこくて、私は迷いながらお風呂の前で親友に「電話鳴ってるけど」と聞いてみました。

そしたら親友が「あー、ごめん代わりに出て」と言ったのです。え~と思いながらも、私は電話に出ました。そしてぞっとしたのです。

電話に出ると、しばらく無言で私は間違い電話かなと自分をごまかして、電話を切ろうとしたのです。

そしたら電話口で「誰かが見てる」と低い女の声が早口に言いました。

その瞬間ざっと鳥肌が立ちました。すぐに電話がぷつっと切れて、私は怖すぎて親友のいる浴室に直行しました。

それからはかば親友を引きずり出すようにして、お風呂から出てもらったのですが、親友はおかしなことを言うのです。

「電話に出てなんて言ってないよ」と言いました。

自分の鳥肌にぞくぞくしました。

私はその日怖すぎて朝まで親友に付き合ってもらって、あの寝室で朝までオールしたのです。

親友に聞いたのですが、あのアパートは「何者かが住んでいる部屋」なのだそうです。

何人もが変な視線や何者かの気配を感じて転居していく曰くつきの物件だと聞きました。

まさにその情報を知る前から体験した私は本当に出るアパートってあるんだと身に染みて分かりました。

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コメント(1)
  • 親友が風呂から携帯電話で固定電話に電話したんだろね。
    おちゃめな友達だね。

    2022/06/12/06:57

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