無断で助手席に乗り込む女
投稿者:ぴ (414)
その日、私は旦那を飲み屋に迎えに行きました。
深夜11時前だったと思います。
よく使う道だったけど夜になると雰囲気がガラッと変わり、やけに山道が長く感じました。
片道だけとはいえ一人で運転していることがとても怖かったです。
その途中にトンネルがあるのですが、そのトンネルを出た辺りに、髪の長い女の人を見たのです。
すぐに通り過ぎたのですが、私はそれが不気味でした。
こんな夜中に女性が一人で歩いていることがとても不自然でした。
しばらくして、旦那が待っている飲み屋につきました。
旦那は完全に出来上がっていて、しばらく私や周りに絡んでいましたが、一緒に飲んでいた会社の人が車に乗せてくれて、すぐに後部座席でいびきをかいて眠り出しました。
酔っ払いではありますが、旦那がいることで帰りは心強かったです。
いつもならうるさいいびきも安心感を与えてくれました。
けれどやっぱり行きに見た女性が気になってしまい、私はトンネルに入る前に周辺を探してみたのです。
しかし、その女の人はどこにもいませんでした。私はそれで心底ほっとして、家まで落ち着いて運転ができました。
しかし家に帰ってきて、やっと水を飲んで頭を冷やした旦那に、「一緒に乗ってた人家まで送ってあげたの?」と聞かれて、「え?」と思いました。
「なんの話?」と私が聞くと、旦那はへらへらしながら「だからあの髪の長いねーちゃんだよ」と言ったのです。
その日は酔っ払いの戯言と思ったのですが、後日にその日旦那を車に乗せた同僚が、助手席に誰か座っていたと証言した話を聞いて、寒気が走りました。
私はトンネルの近くで見た髪の長い女性を思い出してゾッとしました。
私はあの日知らない女性を助手席に乗せて車を走っていたらしいのです。
その女性がどこで車に乗ってどこで降りたのかは分かりません。
おそらくその人はこの世のものではなかったのでしょうね。
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