父親の背後にいた何か
投稿者:渡 (3)
短編
2022/05/21
20:39
733view
私がこどもの頃の話です。
それは冬の頃で、私は居間にあるこたつでそのままうたた寝してしまったようなのです。
気がついたら電気は消されていて、どうやら夜中で、パッと目が覚めたようなのでした。
目を覚ました先には、父親が机に向かって何か作業をしているのが見えました。ちょうど父を左から見ているような格好です。
寝起きのぼうっとした頭でしばらく見ていると、父親の後ろ、床の上から黒いモヤのような物がモワモワぁっと揺らめいてきたのが見えました。
はじめは何だろうと思いみていたのですが、それはどんどん濃くなって父親の背中の方へ、それから頭の方へと上がっていってそのまま飲み込んでしまうのではないかと思うほど大きくなったのです。
私は父親に声をかけようとしましたが、なんでか口を出すこともできず、そのままじっとみているしかありませんでした。
モヤが父親を飲み込んでしまうような気がして、私は怖くなってぎゅうっと目をつむりました。
気がついたら朝になっていて、聞いたら父親は何事もなく仕事にでかけていました。
夢を見ていたような感じではなく、しっかり覚醒していたと思います。
大人になっても未だに覚えているくらい、不思議な出来事でした。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 3票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。