トンネルを出たすぐの電話ボックス
投稿者:渡 (3)
私の生まれは第一村人発見も難しい程の過疎地です。
通勤にはトンネルを6個越えないといけないほどで、山を越えた先にある海辺の集落に住んでいます。
公衆電話はいまはほとんど撤去されて見なくなりましたが、私の通う通勤路にはまだ一つだけ残っています。
6個あるトンネルのうち、最後の1個を越えたすぐそばに設置されています。
その公衆電話には噂があって、夜にトンネルを越えて公衆電話を見ると、女の人が公衆電話の中にいるというものです。
そこは山奥なので歩道はないし、誰でも車での移動が一般的なのですが、ただ一人公衆電話の中にいるだけなんだそうです。
その女の人を見た人は、その先のカーブで事故を起こしてしまう、という噂でした。
その女の人というのが実際の人間なのか、はたまた幽霊的なものなのかは分かりませんが、聞いた瞬間は気持ち悪くて、嫌な話聞いちゃったなーと思っていました。
その話を聞いたあと、しばらくは夜の帰り道にその公衆電話を見るのが怖くて、あえて見ないようにしていました。
しばらくは気になっていたんですが、しかしそんなことあるわけがなくて、私もその話をすっかり忘れていたんです。
だから、その日ふと気になって公衆電話を見てしまったのです。
その時そこに誰かがいたように見えたんです。
視界のはしに見たのでそれが女の人だったのか、男の人だったのか確定は出来ないのですが、確かに誰かいました。
その後、後ろの座席に誰かがいるような気がして、バックミラーで確認しようにも何だか怖くて見れなくて、自然と車のスピードが上がっていました。
カーブの連続に差し掛かる、という所で横から小動物が横切ってきて、慌てて避けましたが危うく事故を起こしそうになり、とっても危ない目に合いました。
その時噂を思い出してぞっとしました。
今もそこを通るときは公衆電話を見ないようにしています。
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