背後からの足音
投稿者:渡 (3)
小学校の時に通っていた塾からの帰り道でした。
塾にはいつもご飯を食べてから行くので、帰りは20時頃になります。
塾は住宅街の中にあって、人通りや車通りも少なく、ついでに街灯もポツポツとしかなくて、薄暗い通り道です。
通り道には公園があります。公園といっても、児童が 5人横一列でかけっこができるかな、程度の幅で距離も30mくらいしかない小さな公園です。
ただ、フェンスからは木の枝が大きく伸びていて、入り口には柳の木があって、風が吹けばゆらゆらゆれて、それが何とも薄気味悪くて苦手な公園でした。
だからそこを通るときは乗っている自転車のペダルを気持ち早くこいで素早く通りすぎていました。
その日も塾からの帰り道、いつもの公園を横切る所まで来ていました。
また公園の奥の暗いところから、何だか誰かが見ているみたいで薄気味悪くて、いつものように素早く通りすぎようとした時です。
後ろからコツコツとヒールで歩いた時のような音がしたのです。それはコツコツコツコツと早いリズムで聞こえてきました。
ちょうど公園の横を通る瞬間で、私はいつものように気持ち早く自転車をこぎました。
けれど、その足音は変わらずにずっと聞こえてくるのです。
コツコツコツコツコツコツコツコツと。
私は気味が悪くなって、急いで自転車をこぎました。それでも足音は小さくなりませんでした。
自転車と徒歩では自転車の方が絶対に早いはずなのに、音の大きさがいつまでも変わらないのです。
後ろを振り返るのも怖くて、自転車のスピードを上げてこいで、ようやく大通りまで出ました。
信号のある場所で止まって、ようやく後ろを見ましたが、もう音は聞こえないし、色んな人が歩いていてそれがなんだったのかもわかりません。
それから私は怖くなって塾を休みがちになり、結局そのままやめてしまいました。いまでもその場所は通るのを避けてしまいます。
自分も同じような体験をしたことがあります