いつもいる人
投稿者:のみのみ (2)
静岡から横浜へ、車で妹を迎えに行ったその帰り道で聞いた話。
霊園の横の道を走っている時、ふと「私って、怖い話とか映画は好きなんだけど実体験って無いんだよね」と、何気なく言った私に対して妹が「私はあるよ」と話し始めた。
Aくん。
自殺未遂をし、入院したものの、その病院で問題がありさらに精神を病んでしまった子の名前が出てきた。
「ああ、あの子。その後どうなの?元気?」
「ちょっと前に、様子を見にBくんと家に行ったんだけど、何て言うか…家の空気が変で……」
霊感なんてほぼゼロな私には「空気が変」がわからない。
「私も霊感があるわけではないと思うけど、それでも変だと思ったの!」
その時Aくんの家にいるのはAくんとお母さん、そして見舞いに来た妹とBくん。4人のはずなのに、他に誰かいるような気配があったらしい。
Aくん母にリビングに通され、ソファーに座るとAくん母はキッチンへ。
他人の家に来て「何か変じゃない?」とは言えず、違和感は何かきょろきょろ部屋を見回してしまったそうだ。
そんな時にふと天井に目をやってしまった。
何も無い、白い天井。
視線が天井に定まった瞬間、バッと女の人の顔が逆さ吊りになるような形で出てきた。
「いやぁぁっ!!!!」
叫んでギュッと目を閉じる妹。
隣りに座っていたBくんは目を見開いて「今の、見えた…?」と…。
妹が感じた違和感はどうやらその天井から顔を出した女の人のようだ。
叫び声を聞いてキッチンにいたAくん母も急いでリビングへ来てくれた。
「大丈夫!?何かあった!?」
天井から女の人の顔が出てきて驚いたなんて、とてもじゃないが家主には言えない。妹とBくんで口ごもってしまう。
その様子を見て、何かを察したのかAくん母が言った。
「こんな話するのもどうかと思うんだけど…何かいるでしょ?この家…」
Aくん母は何も見たことはないが、何かを感じていたようだ。それを聞いて2人で今見たものを正直に話した。
「Aに悪い事が起こるのもそのせいなのかな…」
Aくんに悪い事が起こる少し前にAくん母は葬儀場に勤め始めたそうだ。悪い事がそういうものを呼ぶのか、そういうものが悪い事を呼ぶのか…。
3人で話をし、後日Aくんも一緒にお祓いに行くことにした。
「それからは別に何もない感じ?」
「Aくんも今までの暗い雰囲気はどこへやらって感じで、新しく仕事も始めたし調子も良さそうだよ!Bくんも元気!」
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