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呪い・祟り

煙巻さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

俺たちに同乗する女性
長編 2022/05/07 21:51 7,893view
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救急車が来た後、地元のお巡りさんも合流して、俺は簡単に目撃証言だけ話してAを見送り、後はおっちゃんに任せて学校に向かった。

その日、学校ではAの事故?というべきか、まあ事故なんだが、事故報告を受けたクラスは良くも悪くも盛り上がっていた。
本人が元気なので今一つ実感がわかない俺だが、休み時間にはBとその話題で盛り上がり退屈はしなかった。
因みにAの骨折は二~三ヵ月で完治したそうだ。

以上が俺が憑りつかれていると思った発端の話で、これからそれが疑念へ変わる話をする。

あれは俺が高校三年となり、受験勉強もほどほどに頑張りながら夏休みを謳歌していた時の事。
Bが一早く18歳を迎えたので、大型二輪免許を取得したと聞いた。
アイツ、暫く見ないと思ったらそんな事していたのかと、免許の取得に少しジェラシーを抱きながらも、さっそく納車したバイクを見に行った。

Aと一緒にBの家に赴くと、ライダーというかもはやヤンキーに近い出で立ちのBを見てちょっと笑いそうになる。
Bはバイクの素晴らしさをフルフェイスを小脇に抱えながら語っていたが、正直バイク趣味の無い俺にはちんぷんかんぷんだった。

すると、Bは軽く町内を一周しようと持ち掛けてきた。
時間にして一周5分程度の距離を俺とAを交代で後部に乗せて試運転するといった提案に、俺もAもちょっとわくわくしている。

最初はAが後部に跨り町内一周旅行へと出かけて行ったので、俺はBの庭先で一人寂しく見送った。

そして、10分後くらいにマフラーの音を奏でながらバイクが帰還し、次は俺が町内旅行を体験する番となる。
車と違い直に空気抵抗を受けるのでやはり爽快感があって気持ちよかった。
見慣れた地元でもバイク目線だと新鮮なものだ。

こうして、Bの納車祝いを兼ねた町内一周旅行は概ね良好で恙なく終わった。

しかし、夏休み終盤頃、Bが隣町の山道まで走りに行くと言い出した。
俺達はスーパーでアイスを買い近くのベンチで貪っていた所、そんなBの切り出しで目を丸くした。

Bの言う山道とは、恐らく地元の走り屋の間で有名な「死の峠道」と呼ばれる場所だ。

名称は誇張しているわけではなく、これまで何人もの走り屋が峠を走行中にカーブを曲がり切れずガードレールに衝突、といった事故が相次ぐ曰く付きの場所。
今のところ死亡事故はないが、やはり事故の多い場所はどことなく不気味だった。

「やめとけって、事故るぞ」
「大丈夫、大丈夫。俺運転うまいし」

Aが割と本気の面持ちで止めていたが、Bは早く走行したいといった欲求が抑えられない様子で応えた。

結局、俺達の制止を振り切り、翌朝、Bは山道を目指して出立する。
俺とAは打ち合わせた訳でもなく、早朝にBの自宅へ集まり、バイクに跨るBを見送る。

「気を付けろよ」
「事故ったらすぐ110番な」
「俺はガキかよ」

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