ゲームセンターの男の子
投稿者:とくのしん (65)
これは私の古い女友達の話です。
T子は霊感があるらしく、幽霊らしいものをよく見るのですが、そのくせひとりではホラー映画を見ることができないような性質で、一緒にホラー映画を見たりする仲でした。
よくお互いの怖い話を交換したりしていました。
そんなT子から聞いた話で一番怖い話があります。
T子がバイトしていたゲーセンで、23時過ぎになるといつも3~4歳の男の子がウロチョロと店内を歩いていたそうです。
こんな時間に子供を一人にするなんて・・・と非常識な親は何をしているんだ?と思いつつ、「ボク、迷子?」といった感じで声をかけていたそうな。しかし決まって逃げるように立ち去ってしまったそうです。小さい子供にありがちな照れ屋なのかな?と思いつつも、よく見かけるだけに心配していたとか。
そんなある日、またいつもの男の子がいつもの時間にウロチョロと店内を歩いていました。
「ボク・・・」と声をかけるとまた逃げるように立ち去ろうとしたそうですが、男の子はふいに転んでしまったそうです。慌てて駆け寄ると男の子は自分の手をじ~っと眺めていたとか。
「汚れちゃった?そこに水道あるから洗おうか」と言うと素直に応じたそうです。
(いつもは逃げるけど、今日はいい子だな)などと思いながら、水道のある場所まで連れて行ったT子。蛇口を捻り水を出したあと、男の子を抱きかかえたときT子は絶句したそうです。
抱きかかえた男の子が水道の鏡に映っていないのです。
そこには何かを抱きかかえてはいるが、唖然とした自分しか鏡に映っていません。
男の子の体重は感じるのに鏡には自分一人しかいない。
何も言わず、いや言えずに男の子を下ろすとその男の子は何も言わずに立ち去っていったそうです。その後ろ姿をただただ見つめることしかできなかったと言います。
その日を境にぱったりと姿を見ることがなくなったそうですが、T子から聞いた話で一番怖かったのはこの話でした。
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