遺影の願望
投稿者:@zawazawa46 (2)
泣き疲れていたこともあってすぐに眠りに落ちたはずの俺は、気がつくと庭に立っていた。
確かに家の庭のはずだが、どこかが違う。
普段目にしているよりもなんとなくレトロな雰囲気を漂わせているそこに、彼が立っていた。
マサ坊だ。
「マサ坊!どこ行ってたんだよ、探したんだぞ!」
俺は今日あったことを説明する。
「お父さんもお母さんもおかしいんだ。みんなマサ坊のこと知らないっていうんだよ。だから今から中に行こう。会ったら俺の友達だって分かってくれると思う。」
しかし彼は答えない。
「ねえ、どうしたの?早く行こうよ。」
いくら呼び掛けてもマサ坊はただニコニコとしているだけだった。
そして突然俺を抱きしめると、ぎゅっと腕に力を込める。
その瞬間、彼はどこかに行かなければならないこと、もう俺とは遊べないことを直感的に理解した。
「行かないで!」
そう言おうとして、自室で目を覚ます。
なんだ、夢だったのか、良かった。
だがその日以降、どんなに探してもマサ坊に会うことはなかった。
初めは悲しくて悲しくて仕方がなかったのに、時が経ち学校で友達ができるようになると、俺は次第にマサ坊のことを忘れていった。
子供とは単純なものである。
年齢とともに興味が他のことに移っていったのだった。
一連の出来事を思い出したのは、県外の大学に進学が決まって引っ越すことになった時だ。
自室の荷物を仕分けしていると、あの白黒写真が目に止まった。
手にした途端、思い出が鮮明に蘇ってくる。
次の瞬間、俺は猛ダッシュで祖父の部屋に飛び込む。
「じいちゃん、これ見て!この人のこと何か知ってる?」
驚いている祖父に、マサ坊の写った写真を見せながらことの経緯を説明する。
あの時両親はマサ坊の存在を真っ向から否定したが、祖父は今思うと曖昧な態度だったから何かを知っているかもしれない。
俺の説明を聞き終えて写真を手にとった祖父は、目を細めて言った。
「マサ坊か。懐かしいな。」
やはり祖父は知っていたのだ。
疑惑が確信に変わる。
「なんで知ってるの?」
「昔遊んだことがあるんだよ。じいちゃんが子供の頃だから、もう何十年も前のことだけどな。」
そこからの祖父の説明はこうだ。
凄くいい話ですね。
胸が暖かくなりました。
悲しいが、会えなくあるという事は大人にあるという事なのかもしれませんね。息子さん
マサ坊会えると良いですね。
純心な子達と遊ぶ事が、みんなが彼の存在を忘れない事が、一番の供養かもしれませんね