【怖い話】死の体験
投稿者:みやび (3)
湖って、素晴らしい、美しい、楽しい!
あの時のことは、今でもハッキリと覚えています。
いつの間にか、叔父の姿が見えません。
しかし、わたくしはそれに気が付かず、年若い従弟とはしゃいでいました。
すると、兄が、わたくしに命令してきました。
「コッチの湖、入ってみろよ!」
またいつものように、殴られたり、酷い目に遭わされたら…
疑う気持ちを持ちつつ、わたくしは示された湖の中に入りました。
「疑ってたけど、大丈夫だろ?」
ウン…
わたくしの弱々しい返事など、全く聞き入れず、また指示してきます。
「もっと、奥まで行ってみろよ」
大丈夫だから… などと言って、わたくしは湖の奥へと進むこととなりました。
ヘソほどの高さだった水面が、進まされる度に上がっていきます。
「その辺で、足を動かせ」
言われた通りにすると、わたくしの身体は、湖の中へ、中へと沈んでゆくのです。
肩から、首、顔、そして頭まで水に浸かっていきます。
足をバタバタさせても、身体は浮き上がりません。
息苦しくて、水面に顔を出そうと藻搔きつづけますが…
もう、ダメかな。
プールでの、鼻や口に水が入って痛いといった感覚はありませんでした。
最後の、ボコ…ッ とした呼吸の泡が、自分のずっと上にある水面に上がっていくのが見え、
もう、吐ける息は残ってないだろうと思いました。
スローモーションみたいに、ゆっくり、ゆっくり、沈んでいきます。
呼吸も、気管内に水が入り、頭の中が真っ白になってゆくと、苦しいとか、痛いとか、感じなくなっていくのです。
わたくしは、幼少期に、そのような「死」の間際を体験しまして。
命を諦めた瞬間から、フゥーーーッと、感覚だけになっていくのだと知りました。
コレは、魂が抜けてゆく時だったのかもしれませんね。
ひどい兄貴ですね。彼の最後の言葉が早く聞きたいです。
素晴らしい結末よろしくお願いいたします。
怖い体験しましたね。無事でよかったです。