曰く付きの名門校
投稿者:カヤ (7)
父が学生の頃の話です。父の母校は曰く付きで、地元では有名なバレーボールの名門校で知られています。
部活動は盛んなのですが体育館が小さく、コートが2面しかできない狭さ。
男女バレー部、男女バスケ部が使う体育館でしたが4つの部活が一斉には使えないので普段は、16時〜19時が女子バレー部と女子バスケ部、19時〜22時が男子バレー部と男子バスケ部が使うという形をとっていたようです。
ある日、男女バスケ部が体育館を使わない日があったようで、男女バレー部が体育館を隣同士で使える日がありました。普段ならこんな事はないので、少し浮かれ気味で練習をしていたようです。
みっちり夕方まで練習をした後に話をしていると帰りが21時をすぎてしまいました。
中には家が遠いところにある人たちが何人かいたので家の近い父達が戸締まりをして帰宅することになりました。
先に帰るグループを見送った後片付けをしていると体育館の裏から赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきました。
きっとさっきのグループの悪戯だろうと思った父は「ふざけてないで早く帰れよ!」と言いました。
すると鳴き声がピタッ止まりやっぱり悪戯だったんだろうなと話をしていると1人が「でもさ、こんな時間にそんなことする?体育館の裏土手だよ?しかも何個か墓あるし怖くね?」と言い、みんなで確かに…と納得していると、きゃー!と外で大きな悲鳴が聞こえてきました。
なんだろう…と思っていると、先に帰ったグループの1人が顔面蒼白で体育館に戻ってきました。
どうしたのか聞いても「こっちを見てる」としか言わなく、何が何だかわからない父達は急いで行ってみることに。
先に帰ったグループ全員が突っ立って同じ方向を見ていました。
「どうしたの?」と聞くと指差して「こっちを見てるの」と言われ、指を挿してる方を見ると髪の毛の長い女子生徒がこっちを渡り廊下からじっと見ていました。
何してるんだろうと思っていましたが、バレー部以外の部活動生と思った父が「そんなとこにいないで早く帰れよ!」と言うと、目がカッと開き父のことを睨んできました。
隣にいた女子生徒(Aさん)が「ねぇ、女子生徒雰囲気変わったよね」と父に言ってきました。
「睨んでないか?」と聞くと「睨んでないよ?笑ってるんだけど雰囲気が変わってる。なんか怒ってるって感じかな…」と言われました。
すると渡り廊下の入り口からまた3人が出てきて女子生徒の両サイドに立ちました。
そして同じようにこっちを見ています。
どうする事もできないし、21時過ぎで警備員も帰ってる時間、朝までこの体制で睨めっこと言うわけにもいかないので、父とAさんだけ残り他の人を帰すことにしました。
他の人の自転車を漕ぐ音が聞こえなくなったのを確認し父とAさんも帰る事に。
背中を向けてたらいけない気がしたAさんは父に「見えなくなるまで背中を向けないで帰ろう。見えなくなったら全力で自転車を漕ぐよ!」と言い、父もその指示に従いました。
ゆっくり動くと、その4人は父達の帰る方をずっと目で追ってきてきました。見えなくなった瞬間自転車に跨り全力疾走。
その高校生の通学路にはトンネルがあります。
交通量が多いせいか、歩行者用と自動車用が分けてあるトンネルです。
そのトンネルに近づくとトンネルの中に人影が見えました。
ホッと安心したのも束の間近づくにつれてその人影の正体がさっきの4人なのに気がつきました。
思わずトンネル入口で止まり、どうしようと悩む2人。
自動車用のトンネルに行くことを考えましたが、きっとこの感じだと交通事故に遭ってしまうと思ったら2人は見えないふりをして自転車を漕ぎ4人を無視して通過しました。
トンネルを出た後振り返るとその4人の姿は無くなっていました。
しばらくして、Aさんは1人で受験のため課外授業を受けることになりました。
帰宅時間が20時ごろは暗くなっており高校の周りは田畑だらけで余計に暗く感じます。
夜22時まで部活?随分と遅くまでやるね。