バックルームの煙
投稿者:レイレサ (64)
大学生の頃にコンビニでアルバイトをしていたのだが、その時に見てしまった奇妙なものについて語ろうと思う。
あれは、20歳くらいだったと思う。
コンビニバイトもそこそこ充実してきた時のことだった。
慣れというものは時には怖いものだ。
普段一緒に働いているバイトとの人間関係で少しやらかしてしまった。
つい、馴れ馴れしく冗談を言ってしまった。
私の冗談を聞いたバイト仲間の葉山さん(仮名)の顔色が少し変わった。
どうやら、葉山さんの気分を害したようだった。
葉山さんは誰とでもすぐに仲良くなれる人だ。
人の話を聞くのが上手く、人に喋らせるのも上手い。
それ故についつい調子に乗って発言をしてしまった。
しばらく葉山さんから避けられてしまった。
2週間くらい私は大人しくしていた。
気持ちも沈んだままだった。
ふと、作業中にバックルームに入った。
目の前を白い靄みたいなものが通りすがっていく。
煙の原因となるものはないはずだ。
店長がタバコ嫌いだったことで、バックルームでタバコを吸うことは禁止されていた。
それに、喫煙者は珍しく1人も務めていなかったために、煙の原因がまるで分からない。
その煙は一瞬で消えてしまった。
少しばかり焦げ臭いニオイもしたかもしれない。
何か火元がないか急いで探してみるが、全くない。
そういう現象が数回続いた。
ある日のことだった。
機嫌を損ねていた葉山さんが親し気に話しかけてくれた。
私は煙を見てしまったことをそれとなく話してみた。
葉山さんはこんなことを言い出した。
「ここ2週間ほどね、バックルームが気味悪いのよ」
「霊とか見たり感じたりはしないんだけどね、何となくぬめっとしたナメクジみたいなぬるぬるしたような変な空気をずっと感じていたの」
怖い