誰も知らない
投稿者:さわだ (1)
不思議に思いその固いものを引き上げてみると、それは30cmぐらいの高さの木枠の鏡でした。
木枠は額縁のように模様があり、いい木材なのかそこそこ重く、高そうだったので朝になったら親に尋ねようと部屋の隅に置いて特に気にせず本を隙間から取り出し朝まで読み続けました。
朝になり母に鏡のことを聞くも「知らない、見たことも無い」とのことで、もちろん私も最初に書いた通り部屋の家具配置は自分でやっているので全く心当たりはありませんでした。
祖母にも父にも聞きましたが誰一人知らず、母もさすがに気味が悪くなったようで「ゴミの日に捨てよう、その日まではベランダに置いておこう」と言い外に出しました。
その日の夜は悪夢を見ることも無く久々にぐっすり眠れました。
朝起きるとあんなに下がらなかった熱も下がって、首も少し掻きむしった跡は残ってるものの発疹がひいていました。
さらにその翌日には学校にいけるほど回復していました。
元気になったので、家事を手伝おうと学校から帰宅し洗濯物を取り込もうとベランダに出ると、母が置いておいた鏡はありませんでした。
母に鏡はもうゴミに出したの?と聞くと、「まだゴミの日じゃないから何もしてない」と。他の家族に聞いても誰も鏡の行方は知りませんでした。
重さもあったので鳥が持っていったとかもないでしょう。
ただ、その日以来壁側を向いて寝ても悪夢を見ることはなくなったのとあまりに気味が悪かったのでそれ以上考えることは辞めました。
とはいえ、気付かずにそのままにしていたらどうなっていたのかと思うと今でもゾッとします。
鏡は一体どこからきて何処へ行ったのでしょうか。
今でもトラウマで家の鏡は全て布で塞いでいます。
こういう謎すぎる話、THE実話怪談って感じがして好き