不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
四人の意見が合致したことで、茂みからなるべく音を殺してトンネルへと向かう。
その道中もやはり人間の悲鳴が聞こえたが、A子は耳を塞ぎながら前進していた。
私は振り返るとCが居ないことに気づき、少し遠くの斜面に屈んでいたCを見つけ、近づく。
「どうしたの?」
「……あれ、連れていかれてた人じゃね?」
Cは思わずといった動作で口を手で覆い、吐き気が催したの静かに呻いた。
私はというと、Cの視線を辿り集落へと目を向ける。
距離はあるが、小学校の運動場ほどある広場で火を焚いてるせいか、それなりに明るく、村人が何をしているのかくらいは判別できた。
中心に巨大な組み木があり、キャンプファイヤーのごとく火が立ち上ぼっていて、そこに何やら等身大のつくねのような棒が突き刺さって燃えている。
そう、あのおでんに入っているつくね。
村人達がそのつくねを刺又のような棒状の物でかき出し、和食でよく見るかいしきが敷かれた皿の上へと倒す。
そして、次に村人が棒に張り付けられた人間を運んでくる。
人間は必死に何かを訴えかけ声をあらげているが、村人に腹部を槍で刺され元気が無くなると、宛ら鮎を焼くようにキャンプファイヤーへとくべられた。
火にくべられた瞬間、その人間の悲鳴が聞こえたかと思えば、すぐに気管が焼け爛れ酸素を取り入れられないのか静かになった。
その脇では先程焼き上がったつくねのようなものを村人達が取り囲み、一斉に貪り始めたのだ。
私はあまりの惨たらしさに吐瀉物が込み上げてきたが、どうにか我慢し堪え忍んだ。
こんな時にも女の矜持が脳裏に過るものだ。
隣を見れば、Cも嫌悪感に表情を歪ませていた。
「……行こう」
私は声を出さずに頷いた。
そっと踵を返し、トンネルへと足を運ぶと、思いの外暗くて何も見えなかった。
ただ、トンネルの奥へ居るであろうA子達からは、集落の灯りの逆光を受けていた私達のシルエットがわかったようで、
「○○?」
「うん、ごめん、もたついてた」
A子に呼ばれたので安心させるように答えた。
トンネルの奥、私達がここへ落ちた空洞がある空間は木々の遮りが浅いのか月明かりが僅かに注がれていて、倒木の近くにDが座っているのが見える。
私達は倒木が連なってできた空洞へと集まり、再び手を伸ばす。
だが、やはり何か境界線があるように、何かに遮られて中へ侵入できない。
「マジでなんなんだよ」
Cも苛立ちが出始めていた。
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・