不思議の国のアリス症候群
投稿者:アマリリス (3)
「どっちみちトンネルに見張りがいちゃどうもできないよな」
槍を持ってるせいかCがRPGの登場人物に見える。
しかし、Cの言う通り唯一帰り道が確かなトンネルを固められるのは痛い。
このまま森の中を突っ切れば逃げられる事は間違いないが、それだと今度は遭難してしまうのは確実だ。
まさに死活問題、人生の分岐点。
「なにアイツら!ほんとマジで、なんなんあの格好!」
A子の苛立ちが沸点を迎えたのか怒りの矛先が村人に向かう。
それも殺されかけたことではなく、身形に対してだ。
「A子、静かに」
気に寄りかかるDがさりげなく注意すると、A子は慌てて口を押さえる。
私はCに視線を送ると、辺りを監視していたCに反応はないことから村人は近くにいないと受け取った。
「なあ、なんか村のほう明るいぞ」
しかし、Cは静かに私達へ語りかける。
気になった私は立ち上がり、Cの横から茂み越しに外、高台から拓けた草原の階下にある集落へと視線を落とす。
火の灯りで橙色に煌めく松明が、集落の中心に向かうほど豪勢になり一層輝きをましていた。
キャンプファイヤーを想像してもらうと分かりやすいかもしれない。
集落の中心に炎の塊が立ち上ぼり、夜ながら村人の活気付いた歓声が僅かに聞こえる。
そして、私のトラウマになりつつある太鼓の音が鳴り始めた。
そんな折、トンネル前に居た村人が下山を始めたのだ。
これはチャンスだと思い浮き出し立つ私だが、Cがもう少し様子を見たほうがいいと言うので茂みから出ることはしなかった。
数分後、太鼓の音が鳴りやむと、今度は悲鳴のような人間の雄叫びがここまで響く。
私は嫌な予感がした。
どうやらそれはCも一緒のようで、A子もDも不安な顔色を浮かべていた。
「ちょっと見てくる」
Cがそんなことを言うもんだからA子が腕を引っ張りながらも危険だと申し出る。
「ヤバイって、アイツらに殺されるって!」
「どのみち今がチャンスだし、みんなでトンネル行こう。俺が後ろ見とくから」
Cの言う通りいつまでもこんな茂みの中に潜んでいるわけにはいかない。
Dも怪我をしているし、虫や猛獣なんかもいるかもしれないが、何より夜風の冷たさによる風邪や体調不良は深刻な問題だ。
体力があるうちに逃げるに越したことはない。
ファンタジー読んでるみたいで面白かったです
読み応えがありましたが、本当に不思議な話ですね。
なんか・・・・
こわ・・