「盗作だ」
投稿者:くやり (24)
私は作家デビューを目指し、高校生の頃からコツコツ習作をしたためていました。
十年前に応募した長編が賞をとり、某出版社から作家デビューが決まった際は本当に嬉しかったです。
久しぶりに会って飲んだ友人Aにデビュー決定を報告した所、サッと表情が変わりました。
「その話読ませてくれないか」
「いいぜ」
もともと投稿サイトに掲載していた作品だったので、すぐさまURLを教えて読ませました。
するとAは険しい顔になり、一言呟きました。
「盗作だ」
「えっ?」
「俺の小説をパクったろ」
そんなはずありません、そもそも彼が小説を書いていたこと自体今初めて知ったのです。
しかしAはまるで耳を貸してくれず、「盗作だ」の一点張りで話になりません。
なら直接読み比べて確かめたいと告げるや、Aはきっぱり断言しました。
「あるわけない」
「あるわけないって?」
「だってお前、俺の頭の中のプロットを覗き見て書いたんだろ」
その後もAはことあるごとに「盗作だ盗作だ」と繰り返し、真実を公表しろと家や職場に押しかけます。
さすがに面倒くさくなったので付き合いを一切断ち、メールも着信拒否しました。
後日、出版社から電話がかかってきました。
「ご友人を名乗る方が盗作されたっておっしゃってるんですが……」
「なんだって!?」
即座に出版社に事情を話して警察を呼びました。以来、彼とは会っていません。
デビューから十年、私のHPやSNSに妙なメールが届き始めました。
「先生のデビュー作ってAさんの盗作ですよね?」
「デビュー作以外も全部Aさんの盗作ですよね?」
Aは今もまだ私に盗作されたと思い込み、匿名掲示板や裏アカウントで根も葉もない噂をばらまいていたのです。
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