砂に埋もれる仏壇

当時うちの近所にK田さんが住んでいました。

K田さんのお嫁さんは高齢の義母と同居しなければいけないのが不満だったらしく、お姑さんのご飯に猫トイレの砂を混ぜてだすなど、陰湿ないやがらせを繰り返していました。

鬼嫁にいびり倒された心労が原因でしょうか、同居から一年もたずお姑さんは逝ってしまいました。

ご近所の陰口に後ろめたさを感じたお嫁さんは旦那さんにねだって立派な仏壇を購入してもらい、形だけでも義母を弔ったのですが……

「またなの！」

新品の仏壇がひとりでに砂に埋もれる光景を目の当たりにし、お嫁さんは絶句しました。

その後もお姑さんの遺影と位牌を飾った仏壇にはどこからかサラサラ砂が降り積もり、滝の如く畳になだれ落ちます。

お嫁さんがどれだけ掃いて捨てても砂は尽きず、仏間に敷き詰められた畳は常にざらざらし、靴下を穿いた足裏を汚します。

姑の仕返しに逆上したお嫁さんが縁側の窓を開け放ち遺影を投げ捨てる寸前……

「げえっ！」

彼女は激しくえずいて猫砂を吐き出しました。

後日病院の検査を受けた所、胃の中に大量の猫砂がたまっているのが判明しました。
もちろんお嫁さんに心当たりはありません。

お嫁さんが離婚して家を出てくと同時に、仏壇の異常はおさまったそうです。