最初はいい人だったのに・・・

「掛け持ちするくらいなら、こっちのパートに専念して欲しかった」

腰を痛めている間ももうひとつのバイトの方はちゃんと出勤していたらしい。

こっちは人手不足でてんてこ舞いだったのに、掛け持ちしていたとは・・・。

Ｔ君は陰口叩かれても図々しく掛け持ちをしている。

もうひとつの方はどうなのか分からないが、こっちのパートでは媚を売ったり威張ったりしてパートやバイトから嫌われまくっていた。

ここまでくると最初にちやほやしていた上司や先輩もＴ君への不満が爆発したようで、影でこそこそ悪口を言っているのだ。

Ｔ君の前では普通に話をするが、影でこそこそと・・・。

以上が条件に合った人を採用して痛い目に遭った話である。

そういう出来事があったにも関わらず、社交的で仕事が出来て、素直な人が応募してこないかな～っと上司と先輩は口癖のようにいつでも話をしている。

バイトやパートの面接は定期的に行っているようだが、少しでも条件に合わなければお断りしているそうだ。

Ｔ君の件はどう思っているのか。

条件に合うから採用したんじゃないのか？

社交的で仕事が出来て素直な人だと思ったから雇ったのに、とんでもない状況になってしまったではないか。

それでも懲りずにまたそういう人が来ないか期待しているのか？

少し条件に合わなくとも、最初は危うくても慣れてしまえばそれなりに働けると私は思う。

というか、ここの職場の採用担当は人を見る目があるとは思わない。

私は職場の雰囲気に嫌気がさして異動願いを出してさっさと離れた。

それから十数年経つが、Ｔ君がどうなったのかは分からない。

そこの雰囲気が良くなっているか悪くなっているか分からない。

もう、どうでもいい話だ。

そこにはもう用はないので近寄ることもないからだ。