線路脇のワンカップ
投稿者:繭 (42)
短編
2022/02/01
11:59
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当時私が通っていた小学校の通学路には踏み切りが存在し、そこは自殺の名所でもありました。
同時に地元で有名な心霊スポットでして、夏休みの夜となれば肝試しに訪れる若者が絶えません。
私は人一倍臆病で泣き虫だったのですが、中学生の兄とその友人たちが肝試しに行くというので付いていった事があります。
踏切周辺は人家や常夜灯が少なく寂れた雰囲気が漂っていました。線路脇には枯れた花束やワンカップ焼酎がお供えされています。
「こないだホームレスが飛び込んだんだって」
「マジで?」
兄たちはそんな事を話しながら踏切周辺で騒いでいました。うち一人がうっかりワンカップ焼酎を蹴倒し、中身を零してしまいます。
「あちゃーやった」
「何してんだ馬鹿」
兄はその場でズボンのジッパーを下ろし、ワンカップめがけて放尿したのです。
「お兄ちゃん、罰当たりだよ」
「黙ってりゃバレねえって。チクんなよ」
兄は怖い顔で私に口止めし、友人たちと連れ立って帰ってしまいました。
一週間後、友達の家に遊びに行った兄が例の踏切で電車に轢かれました。
自転車で渡ろうとした際、突然遮断機が下りて閉じ込められてしまったのだそうです。
葬式が終わった後、兄が好きだった缶ジュースをお供えしようと踏切に行きました。
ジュースを供えて拝んでいた時、ふと異臭が漂い顔を上げると缶の中身がおしっこに取り換えられていました。
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