俺の母さんは「うまずめ」だ
投稿者:繭 (42)
私には施設出身の友人Aがいます。これは彼が実際に体験した話です。
Aの父親は物心付く前に家を出ていき、彼は水商売をしている母と暮らしていました。
しかしこの母親というのがだらしない女で、まだ幼いAをたびたび部屋に放置し遊び歩いていたのです。男癖も大変悪く、新しい恋人ができると2・3日平気で家をあけることもあったそうです。
Aが5歳になったある日、母親がまた男と別れました。しかも元彼に騙されて多額の借金を背負われてしまったそうです。
さすがにショックを受けた母親はAの手を引き、自殺の名所となっている某県の山を訪れました。親子心中を目論んだのです。
「ママと一緒に死ぬのよ、A」
「やだ、怖いよお」
母親に突然そんなことを言われ、可哀想なAはパニックに陥りました。場所は深夜の田舎道、近くにあるのはお地蔵さんの祠だけです。
聞き分けなく泣きじゃくるAにカッとし、母親が手を上げた瞬間でした。
「いらないなら頂戴……」
恨めしげな女の声が告げた直後、母親はAを置き去りにし顔面蒼白で逃げ出しました。Aが振り返ると祠の中のお地蔵が微笑んでいます。
Aはお地蔵さんの微笑みに圧倒的な母性を感じ、祠にもぐりこんで夜を明かしたそうです。
翌朝、Aは警察に保護され施設に送られました。母親の行方は不明です。
後でわかった事ですが、あの夜Aを守ってくれたお地蔵さまは地元で有名な子授け地蔵で「うまずめ様」と呼ばれているそうです。
子授けなのに石女、ってところが色々想像できて楽しい、すき