それはゆらゆらと
投稿者:piko (6)
長編
2022/01/23
13:50
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次の瞬間、私は母に起こされて自室の天井を見上げていました。
どうやら再び母のジャーマンスープレックスを受けたようで、私は大の字でベッドに転がっていたのです。
「しっかりしなさい!」
数か月ぶりに受けるビンタは、相変わらず強めで、瞬時に私を覚醒させます。
「…痛!…私また夢見てた?」
正気を取り戻した私の質問を受け、母は涙ぐみながら強く頷くのでした。
後日、私達一家は新居に越してきて荷ほどきに追われていました。
慣れ親しんだ団地生活が懐かしいですが、これから暮らす新居に心が躍ります。
因みに、引っ越してからはあの夢を見る事はありませんでした。
もしかしたらあの団地はいわくつきだったのかと考えたこともありますが、だとしても、何十年と暮らしていてどうして今頃怪奇現象が起きたのかと疑問が残ります。
今では、私でも気づかない内に受験にストレスを感じていたのかと思います。
事実、受験後は不思議と肩が軽いのです。
ただ、受験後ももしあの部屋に住み続けていたら。
もし、母に叩き起こされずにあの夢の続きを見ていたら。
その先を考えるだけでもゾっとします。
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