倉庫の中の鎧や刀と神隠し
投稿者:湊 (22)
私が子供の時の話です。
当時、親戚の集まりの時に実家の古い倉庫には昔使われた鎧や刀が眠っていると言う話を聞き、好奇心から私は次の休みの日に探す事に決めました。
その日は天気が良く探し物日和で、午前から大きい懐中電灯を携えて兄弟と共に倉庫に向かいました。
倉庫の中は人が居られるスペースは一畳分で、明るいのはガラス戸になってる手前側だけ。埃だらけで昔の自転車や使わなくなった釣り道具、タイヤ、机、戸棚…所狭しと置いてある。それを、一つずつ退かしライトを照らして鎧や刀を探して行きます。
途中で母が「お昼だよー!」と家の方から声を掛けて来たので、一旦そのまま家に戻りました。
昼食を終えて足早に倉庫に戻った時です。
倉庫に入ってすぐ左手にタイヤが積み重なっていて、その上に分かりやすくライトを付けたまま懐中電灯を置いていたのですが見当たりません。
無くしたのがバレると不味いと思い必死に探しても見当たりませんでした。
目的の鎧や刀はライトなしで何とか探し出しましたが、とてもボロボロで私が心待ちにしたご対面ではありませんでした。
それから3年後の事です。
突然、父が倉庫の方から「誰だー!ライト付けっぱなしで置いてるのは!!」と叫んでるのが聞こえました。
急いで駆けつけると、3年前に無くなって必死に探したライトでした。
父に話を聞くと、倉庫に入った時にタイヤの積み重なっている上にライトがついた状態であったと。
その時に私は思いました。
あの時、母が声を掛けてくれずにずっと探す事に明け暮れていたら、もしかしたらライトではなく私達が居なくなっていたかもしれないと。
ライトの代わりに三年後にタイムスリップ出来たのかな?
タイムスリップ〜(ダミ声)