臨死体験をデジャブしたような不思議な話
投稿者:ぴ (414)
しばらくすると周りから声が聞こえなくなったことに気づいて私はやっと顔を上げました。
さきほどまで男女がいたところには誰もいなくなっており、シーンと静かになっていました。
周りを見渡してみましたが、やはり昔見た夢とまったく同じ。
真っ白の部屋の中にいます。そして私も真っ白の服を着させられており、部屋にぽつりと一人でした。
しばらくの間は恐怖に慄いて何もできませんでしたが、しばらくしても監視していた二人が帰ってくる気配がないので、おそるおそる椅子から立ち上がって周りをうろつきました。
部屋は一人暮らしにちょうどいいくらいの広さがありましたが、見渡す限り白かったです。壁も天井も床も真っ白。
ほかの色がまったくないのが本当に不気味で、しばらく見ていて落ち着かないような気持ちになりました。
しばらく詮索していた、丁度そのときでしょうか。
急に外がざわつき始めて隣から何か分からない切羽詰まった悲鳴が聞こえたのは。
その声は何か恐ろしい事態に抵抗する声でした。
おそらく男性の声ということは分かりましたが、言語が違ったのか、声が遠すぎたのかは分かりませんが、何を言っているかまでは聞き取ることができませんでした。
ただとにかく必死に悲鳴を上げているということだけは分かりました。
恐ろしくなって私はこの部屋から逃げ出そうと思いました。
だけど部屋の扉はしっかり閉じており、開け方は分かりません
。ひたすら扉とみられる場所を引っ搔いて必死で外に出ようとしました。
外はなんだかざわついているみたいで、再び部屋の外に人の気配を感じました。
私は椅子から離れたところにいることを知られたらまずいかもしれないと思って、がくがく震える足を必死に動かして元の椅子に座り直しました。
座りなおした直後に間一髪で、白衣を着た女の人が1人私を見て、日本語で話しかけてきたんです。
私は帰りたいかと聞かれました。突然話ができるようになったことに驚いていた私ですが、とっさに訳が分かってないままとりあえず一つ頷きました。
「帰りたい」と私が言うと、その人は「忙しくなりそうだから仕方ないね」と言って、渋々私の部屋の扉を開けてくれました。
扉の外は真っ白になっていましたが、私は躊躇なくその光に向かって歩きました。なんとなく、そっちにいけば大丈夫だと分かっていたんです。
真っ白光を突き抜けたかと思ったときに、私が病院のベッドで目を覚ましたのです。
起きたら知らない看護婦さんがこちらを見ていました。そして「良かった」と何度も言われたことを覚えています。
夢から覚めて私は意識を取り戻しました。
お医者さんには生きるか死ぬかの瀬戸際だったと言われました。
私はこの経験を通して、あの夢がもしかしたら自分の前世などではなく、臨死体験だったのではないかと思ったのです。
私は昔から体が弱くて、子供のときに何度か生死の狭間をさ迷ったことがあると聞きます。
そしてあの部屋を知っていたし、なんとなく帰り方も知っていたように思います。
昔何度か見た記憶に残っている白い病棟の夢はもしかしたら前世などではなく、昔幾度か見た私の臨死体験の記憶だったのかもしれません。
その証拠といえるかは分かりませんが、私が事故にあったその日は外国で大きな自然災害があり、たくさんの人の命が亡くなった日でした。
もしかしたら私はその忙しさのおかげで、生き返ることができたのかもしれないと思うのです。
生死の境をさまよった話は人から聞いたことはありますが、よく三途の川を渡ろうとして引き返してきたなんて話を聞きますよね。
私の臨死体験は少し違いましたが、今もくっきりと記憶に刻み付けられています。
帰ってこられて心から良かったと思いますし、二度とあの部屋に行くことがないように、命を大切にしたいと思ました。
異世界の話みたいで面白い!
あの世の順番待ちみたいな話、ちょっと前にもこのサイトでありましたね。東日本大地震の。
本当にあるのかもしれませんね