ほんとに体験した話はオチがない

私の実家はとても田舎で周りも山ばかりのようなところです。ご先祖様のお墓もテレビで見るような「○○霊園」という感じではなくて、近くの家同士数件のお墓が同じ場所にある共同墓地といった感じです。墓地も周りを塀に囲まれているような施設ではなくて、山の中にあるのでその隣は畑だったりします。

そして私の母はいわゆる霊感がある人のようで、ちょくちょく不思議な体験をするのですが、本人にはあまり自覚がないようです。そのため、不思議な体験も後から母の口から世間話のように「こんなことがあったわ〜」と聞いてしまうことが多いのです。

その話を聞いたのはお盆の準備をしていたときでした。盆提灯を準備したりしながら母と何気なく世間話をしていたのですが、お盆にはご先祖様が返ってくるというよく知られている話題になりました。ご先祖様の魂が乗って戻ってくるときは馬で帰る時には牛に乗ってというやつです。

私は何気なく「ほんとに帰ってくるのかな」と言うと母は、「日が沈んでから墓地の隣にある畑で仕事してるとね、いっつも誰か喋ってるからガヤガヤガヤガヤうるさいのよ。でもお盆の間は静かだからやっぱりみんな家に帰ってるんだろうね」と言う母に「誰かって誰のこと？」とは聞けず…話はそれで終わりで、ほんとに体験した話ってオチがないんだなあと実感してしまいました。