魂の旅人の宿泊所
投稿者:舞姫 (16)
先日、田舎の祖母が亡くなりました。
しかし、コロナ下で葬儀に出席することができませんでした。
最後に祖母に会えないのはつらいですが、もう少し世の中が落ち着いてから、手を合わせに帰ることにしました。
祖母が亡くなって3日目の夜、夢を見ました。
私は広い和室の中にいます。
畳、床の間があり、開けられた襖障子の先に廊下が見えます。
廊下では洋服を着た女性たちが何人か行き来しています。
とても居心地の良い空間でありながら、行き来する女性たちの姿を見ているとなんだか活気がある場所だと感じました。
そしてなんとなくここはゲストハウスだなと思いました。
私は布団で寝ていて、廊下の様子を見ています。
ふと私の右手に誰かの手が添えられました。
見上げると、そこにいたのは亡くなった祖母でした。
祖母は、私の全てを知った上でその全てを肯定してくれるような笑顔を向けてくれていました。
「おばあちゃん!」と心の中で言いました。
すると意識が浮上し夢から覚めました。
目が覚めた瞬間、涙が溢れました。
「そういえば私泣いてなかったなー」なんて思い、涙を流した後、再び眠りにつきました。
祖母にとって私は親不孝ならぬ祖母不考だったのでは、とずっと思っていました。
祖母は私に早く子どもを産むことを望んでおりました。
しかし私は東京で自分のやりたいことをやる生活で、祖母が望むような生き方をしていませんでした。
ですから、どこか祖母に申し訳ないような気持ちをずっと抱えていました。
しかし、夢の中で見せてくれた祖母の笑顔は全てを分かった上で受容してくれているような笑顔でした。
とても嬉しく幸せな気持ちでした。
同時に夢の中の場所はとても活気がありながら居心地の良い空間だというのも印象に残りました。
もしかしたら、肉体を離れ魂となった人が旅をするのに立ち寄る宿泊所なのかもしれません。
生前脳梗塞を2度起こし、体を思うように動かせなくなり、「死にたい」と言っていた祖母が、元気でしゃんと背筋を伸ばした姿でそこにいました。
少しだけ死に対する印象が変わった体験でした。
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