私の頭頂から飛び出て行った凄い何か

パワーストーンを浄化しましょう!
パワーストーン浄化用さざれ。

最近は、スピリチュアル的な天然石のアクセサリーを「パワーストーン」て呼ぶんだ…。
10年くらい前にペットボトルの首掛け販促品を見ながらぼんやりと、そして時折インターネットのページで丸玉ビーズの数珠的なブレスレット商品を見かけて何となしに、その名称は認識はしていました。

パワーストーンブームのずっと以前に、“ニューエイジ”という、ファッション的なクリスタルヒーリングムーブメントの時代がありました。
まだ物がない時代、このような美しい天然石を扱うお店は限られており、インターネット通販などない時代でもあり、本当に夢中となって捜しました。

あんなに好きだったのに、全く興味を失くしていたのには、個人的な事情もありましたが、効果らしい効果を感じなかったということもあります。
またもう一つの大きな理由には、怖いというほどではない程度ながら、もうよそうと思う不思議体験があったからです。

当時でも、水晶などの天然石の結晶やクリスタルボールは、流水や天然塩等で浄化するのが一般的でした。
（浄化にさざれ石やホワイトセージというのはなかったです。）
ある天気の良い初夏の日に、いくつか買い集めた大小の水晶を浄化しようと思い立った私は、大き目な厚手のガラス容器に塩を入れて敷くと、その上に無造作に水晶の丸玉を入れ蓋をして窓際のベッドの棚の上に置きました。
強めの日の光を受けてキラキラと透明に光り何とも美しい光景…。
何とはなしに、カーテン越しの日の光を受けながら、そのままベッドに横たわりうたた寝していたところ、頭上に違和感を覚えると同時に金縛り状態となって目覚めました。

こんなに明るい日差しの中、ポカポカした状態で金縛り!?
あまり怖くはなかったのですが、頭上が何かに引っ張られている感覚を強烈に感じていました。
窓際に置いた水晶を入れた容器を中心に、自分の頭のてっぺんから何かを引っ張りまわされているような感じです。
やがて、金縛りで硬直した体が大きく前後左右に大きく揺れ、ベッドのスプリングも30センチ以上沈んでは上に持ち上がるなど繰り返され、傍目に観ていたらホラー映画のごとくの状態です。
さすがに、この状態は夢とは思えません。
体感的には5分位大きく頭と体を振り続けると、ようやくスポーッンと頭上から何かが水晶の入っている容器に向かって凄い勢いで抜けていきました。
例えがあまり良くありませんが、便秘が解消した直後のスッキリ感によく似ています。

ミシッ…。
水晶の塊が軽い音立てたのと同時に金縛りが解けました。
特に体が軽くなったわけでもなく、水晶が濁ったりひびが入る様な物はありませんでした。
ただ、ガラス容器に入れた中のどの石に入ったのかがどうしてもわかりません。
全部に入ったのか、それともどれか一つなのか…。
その後断捨離的に、ガラス容器と一緒にあまり価値のなさそうな物や変な感じのする物は捨てました。

水晶には吸い込む力や浄化する力があるとは聞いていますが、数十年前のこの時も今でも、この現象や浄化吸収についてはよくわかりません。
このようなことがあってから、天然石はほぼインテリアグッズです。
“パワーストーンを身に着けて外出”や、“一緒に寝る”など近い距離での関係をなるべく避けています。

しかし、天然石に興味を失くして10年近く経ったある日のことです。
通勤時間が長い私は、電車の行き帰り座ることができる時はいつも15～20分くらい仮眠をとるのが習慣となっていました。
その日もいつも通り、夜8時過ぎの人がまばらになった車内で軽く眠りこけていました。
眠りに入ると自然と前かがみに二つ折りになるように寝てしまう私ですが、この時ふと自分の頭が何かに引っ張られているような感覚と共に上下左右に自分の力ではなく振っていることに気が付いて目覚めかけました。
疲労感も強くなかなかしっかり覚醒出来ないでいると、またしても強烈な何かが頭のてっぺんからスポーンというか、ドバーンッというべきか、彗星のごとく目の前の座席の上の窓あたりをめがけて飛び出していきました。
その反動で、上半身がとび上がって上向きにのけぞりました。
軽く金縛りにかかっていたにも関わらず、疲労のあまり眠りこけており、何かが飛び出した瞬間に目が覚めたようです。
恥ずかしい…。
怖いというより、何だか知れないバカでかい塊が頭上から飛び出て行くなんて…。
しばらく、疲れて寝たふりをしていたのですが、数分してそっと目を開けて前の様子を窺うと、前の席に座っていた女性二人が、自分を見ながら何かしきりと話していました。
少し後悔…、あの時恥ずかしさでごまかさず、今何か起きませんでしたかと聞いて確かめるべきでした。
走る電車の窓の外へ出て行ったのか、まさか、女性達がパワーストーンを身につけていたのかバッグの中に持っていたのか何なのか。