〇〇山の神隠し伝説
投稿者:レイレサ (64)
祖父から聞いた神隠しの話で多少フェイク入れてます。
まだ父が生まれる前に本当にあった出来事です。
祖父が仕事の都合である辺境に引っ越してきました。
その辺境にはある神隠し伝説がありました。
〇〇山には天狗様が住んでおり、天狗様に魅入られた子供が行方不明になる、というものです。
近所の人から神隠し伝説の話を聞いた時は半信半疑で適当に聞き流していたようです。
怪談話や不思議な話はどちらかというと信じる方であった祖父ですら、神隠し伝説をなかなか信じることが出来なかったのです。
なぜなら、生活が大変な時代だったからです。
辺境という過酷な環境で生活できずに夜逃げする人の話もよく耳にしたそうです。
人が居なくなれば夜逃げではないかと噂されることがあったために、神隠し伝説を信じていなかった祖父も神隠しを信じてしまうきっかけとなった行方不明事件が起きてしまいました。
近所でも有名な明るくて元気で悪ガキだった男の子がいました。
その子をA君とします。
A君は悪ガキだったために周囲の大人をいつも困らせては怒られていた子でした。
祖父はA君とそれほど親しい間柄ではなく、噂話を聞いてどういう子なのか知っていた程度だったそうです。
A君は1人で勝手に山に入ったり海に出かけたりなど、大人が心配するような行動も平気でするような少し無謀なところがありました。
そんなある日のことです。
大人の目を盗んで勝手に1人で〇〇山に出かけてしまったA君は夜になっても戻ってきません。
村中の人々はA君を探しますが見つかりません。
そのうち村の誰かがこんなことを言い出します。
「天狗様に連れ去られたのではないか?」
「きっと神隠しにあったに違いない!」
祖父はその時まさかと思ったようです。
やんちゃ小僧だったA君は普段から周囲の大人を困らせてばかり。
もしかしたら、退屈な辺境住まいに嫌気が指して家出してしまったのではないか?
結局どんなに探してもA君は見つかりませんでした。
村中の人々は神隠しが起きてしまったと戦々恐々です。
祖父は半信半疑の状態でしたが、そのうちすっかり行方不明事件も記憶から薄れていったそうです。
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