裏山の住人
投稿者:赤壁二世 (13)
短編
2021/12/28
21:09
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すると、茂みから酷く狼狽えたAが飛び出てくるなり、身ぶり手振りで後方を指差しながら「早く逃げよう!」と俺達の服を引っ張った。
意味がわからず呆然としていると、茂みの向こう側から、
「うおおおおおおおお」
と、雄叫びを上げた、体格的に大人の男が巨大な斧を振り上げながら走ってくるのが見えた。
「「うわあああ!?」」
俺とBは同時に絶叫をあげ一目散に逃げ出すといった双子顔負けのシンクロを見せた。
既に逃げ出していたAの後を二人で追いかけ、その後ろを謎の男が追い掛けてくる。
だが、学年でもわりかし足の早い中学生に追い付けないのか、男の奇声と姿はだんだんと遠退いていき、麓に降りてきた時には気配はなくなっていた。
俺達は災害にあったようにポカーンと顔を見合わせて固まっていたが、俺の家に戻り事のあらましを親父に説明するとすぐに警察に通報してくれた。
で、正直何も進展はなかったので結論から言えば浮浪者の仕業だと親父と警察は言っていた。
知らない内に山に住み着いていた浮浪者が、俺達から食糧を奪うために襲ってきたと。
事実、現場を訪れた親父と警察は荒らされたテント内から食糧品を中心に奪い取られているのを確かめたようだ。
その事件をきっかけに今後一切の山への侵入は禁止となり、家族でのバーベキューもしばらくお預けとなった。
土地が広いのも考えものだと思い知らされる出来事だった。
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裏山の語源は羨ましいかなと、調べてみたら
全然違いました。
AとBは夜中にズボン下げて何してたんだろね?
おそろしや。