分身する白装束のおじいさん
投稿者:壱 (1)
その表現のしようがない異様な表情は今でも忘れません。
邦画ホラー映画さながらの気持ちの悪さでした。
しいて言えば貞子やリングに感じる気持ち悪さと言えばわかるでしょうか。
私は気を失い、目覚まし時計の音とともに起床しました。目覚めても特に部屋や身体に異変はありませんでした。
何日も部屋の前に来てとうとう中まで入ってきたと思ったらこの有様です。
未成年だったのでアルコールも飲んでいないし、もちろん薬物もしていませんでした。
精神的な疾患もなく普通に暮らしていたのにこんな絶望感を味わうようなことになるとは思ってもみませんでした。
学校で友人にこの話をしたら寝ぼけていたんだと言われましたが、電気を消してすぐ横になってからの現象なので寝ぼけではありません。
霊感が強くていろいろな目に合っていますがこんなに酷いのは初めてでした。父方の家系が四国の巫女さんの出だそうで、その影響で霊感が強かったんだと思います。
虫の知らせや第六感も強かったから、血のせいなんだと思っています。
それから友人数人が数回泊まりに来ましたが何も起きませんでした、私一人の時は足音が良く聞こえていました。
ドアを開けて足音のほうを見ても誰もいませんでした。
もう二度と入ってくるなと思いながら、電気を消さずに布団に潜り込んで寝ていました。
でも彼らはいたずらが好きみたいで、姿は見えないけれど部屋の中で歩き回る足音や衣擦れの音が良く聞こえました。
悪さをされたのはその一回でしたが、あまりにも強烈過ぎて毎日恐怖に怯えて過ごしていました。
あまりにも部屋の中を霊が歩き回るので寮母さんに質問してみました。
あの部屋にお化け出ますかと、そしたら見える人は見えるみたいだよと返事がありました。
お化けが出る部屋は決まって私の部屋で、廊下にも出るそうです。
どうやら寮となっている建物はかなり古く昔は民家だったそうです。
それを改築して寮にしたそうです。
以前民家だった時に変死とかはなかったそうですが、霊の通り道じゃないかと言われました。
寮母さん事態も霊感が強いらしくてよく見るそうですが、もう慣れて何とも思わないと言っていました。
私も寮ほかの住人に聞いたけど、霊感のある人はいませんでした。
逆に気持ち悪がられてしまう始末です。
そんなことがありましたが無事卒業して寮を引っ越し新しい会社の寮へ移り住みました。
会社の寮は民間のアパートを借り切ったものでした。
そこでは何もなければよいなと思っていたのですが霊感が強いってことはそう言うことなのでしょう。
結局幽霊に好かれ続けています。
分身する幽霊は初めて聞いたw