職場にあった不気味な絵
投稿者:ジュリー (62)
私の職場には数々の骨とう品や芸術品が並んでおり、その数は多過ぎて不気味なほどでした。
会社の理事長が趣味で集めたものだと聞きましたが、あまりにも不気味で従業員は良く思っていませんでした。
とある従業員が馴染みのクライアント様から数多くの絵を譲ってもらい、是非飾ってほしいと言われ、理事長の絵を処分して交換したことがあります。
その際には理事長からかなりのお叱りを受け、従業員もそれに対してクライアント様から貰ったからと反論したそうです。
私はそういった面倒事や口論を避け、口出しや交換などの勝手な行動は慎んでいました。
しかし、私が勤務する建物に飾られている長さ2メートル四方の絵があまりにも不気味で悩んでいました。
夜や早朝など、暗い時に見るとさらに不気味で、だんだん早朝からの勤務がしんどくなってきました。
早朝からの勤務と絵の不気味さに心身共に疲れ果て、数年で私は退職を決めました。
退職後あの頃の絵の話をした時、母が何か知っている様子でアルバムを探しました。
母の学生時代の美術の先生が描いたものらしく、その時ようやく描いた人が分かりました。
子供が数人、ゾンビのような顔をしているという、誰が見ても不気味なその絵。
描いた人は亡くなっており、亡くなる直前に描いたものを理事長が引き取ったそうです。
見る人を暗い気持ちにさせ、怖がらせる。クライアント様が「あの絵怖いの。」と言いながら前を通っていたのを思い出しました。
かなりの負の念を感じるその絵をなぜ理事長が引き取ったのか知りませんが、そのせいか私が退職後も順調に経営が傾いているという話を聞きました。
絵に魅入られた理事長にはいい絵に見えても、他の人には怖い絵に見えてしまうのかもしれません。