勝手に動くお隣のシルバーカー
投稿者:ジュリー (62)
私のお隣のお爺さんが老衰で亡くなりました。
生前はよくシルバーカーを押して私の家の前を通り、少し離れたところで座っていました。
しかし、いつからかその時間が長くなり、3時間程真夏の炎天下で座っていることが続くようになりました。
「暑くないのかな?」「倒れないかな?」と心配になって窓を見ていたのを今でも思い出します。
亡くなってからしばらくは葬儀でバタバタしていました。
半年ほど経った頃だと思います。
隣の家からバタン、キィというような音がし、来訪者でも来たのかと思っていました。
翌日も、翌々日も不定期な時間に音がします。
こんな毎日誰かが来るなんてと思って玄関を見た時。
なぜかシルバーカーが家の前の道に置かれていました。
周囲に人の姿はなく、なんとなく恐怖を感じてその日はすぐに家に入りました。
その翌日もまた音がします。音がした後見に行くとまたシルバーカーが道に置いてある。
それが続いた後、業者が来てシルバーカーは撤去されました。
撤去後音がすることもなくなり、未だに隣人の奥さんにはそのことは黙っています。
お爺さんが亡くなった後も歩きに行こうとしていたのかな?とふと思い、恐怖心と悲しさの混ざったような思いになります。
家を出た時、ついお隣の家の前を見ては無造作に置かれていたシルバーカーの残像が蘇ります。
そういえば、あのシルバーカーはどうやって出し入れを繰り返していたのだろう?まさか無人で?と考えてしまいます。
シルバーカーは老人用の乳母車みたいな手押し車でシニアカーは電動車椅子なんですね。
ネーミングセンスが微妙ですね。