最後の挨拶
投稿者:アイス (6)
私の職場に50代で髪が長くて、細身の同僚がいました。
私とは係が違いますが、更衣室のロッカーが近くだったため、ときどき世間話をしていました。
ある日、この同僚としばらく顔を合わせていないことに気づきました。
シフト制で出勤時間やお休みが合わなくて、1週間くらい顔を合わせないことはよくありましたが、2週間以上は今までにありませんでした。
他の同僚へ聞いてみると「入院しているみたいだよ」と言われました。
そのときは「大丈夫かな」くらいに思っていました。
それから1ヶ月くらいが過ぎたある日、私は一人で印刷をしておりました。
すると、黒い影がすーっと通り過ぎました。髪の長い女性を思わせる形でした。
振り返ると誰もいません。今まで影を見たことはありませんでした。
あれは何だったのだろうと思いながら、印刷を済ませ、自宅に帰宅しました。
秋だったのですが、冬のように寒い日だったことを覚えています。
次の日の朝礼で、その同僚の女性が病院で亡くなったことを聞き、ビックリしました。
倒れてから、ずっと意識がなっかったようですが、昨日の影を見た時間帯に息を引き取ったそうです。
私と同じ時間帯に、別々の場所で黒い影を見たという人が2人いました。
2人とも彼女とよく話をする人たちでした。
同僚は20年近く会社に勤務していたそうです。
亡くなるときに最後に挨拶に来ていたのかぁと思いました。
それから影を見ることがなくなりました。
秋の夜に印刷をしていると、今でもそのことを思い出します。
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