恐怖の人面グッピー
投稿者:トキオ (5)
これは昔、祖父から聞いたお話です。
祖父の友人、A氏と呼びますが、彼はグッピー、いわゆる熱帯魚の繁殖に熱心な人でした。
けれど家族は、魚ばかり構うA氏に愛想を尽かして出ていってしまいました。
そこからA氏は、グッピーの繁殖にのめり込んでいきます。
あまり詳しくないのですが、良いグッピーを得るためには、何回も魚同士番わせて卵をうませる必要があり、そこから先で更に体が弱い魚を除くなど、神経を使う作業がいるそうです。
A氏は家に閉じこもるようになっていきました。
ある日、祖父の元へA氏から電話がかかってきました。
「できたできた! 家族の顔そっくりの人面グッピーができた! ぜひ見に来てくれ!」
全国的に人面犬やら人面魚が流行っていた頃でした。
祖父はA氏のことを心配していましたから、すぐに向かいました。
招かれた彼の家は、真昼だというのに真っ暗で、「こんな環境では魚も育つまい」と祖父は思ったそうですが、口に出すことはしませんでした。
案内された部屋の最奥に、ガラス製の大きな水槽がありました。
「人面グッピー!」とA氏が指さした先を見た祖父は……絶句しました。
水槽の魚は全て死んでおり、白くブヨブヨとした体を水の中に漂わせているばかりでした。
祖父はA氏の家族と連絡を取りました。電話先ではバタバタとした雰囲気。
「孫が亡くなったんです」と、奥さんが言います。
その数日前には、息子が亡くなったと。
( ゚д゚)。