咳き込む男の怖い話
投稿者:陶芸参謀 (37)
行きつけのお店の常連Yさんから聞いた話です。
Yさんが大学生の頃、タケオという同級生がいました。
タケオは真面目な性格で、人の悪口を言ったりしないし、いつもニコニコ笑っているような男性でした。
タケオは怖い話が好きで、怪談や怖い話を聞くのが大好きだったそうです。
しかし、自分が怖い話をするのは絶対に嫌だというのです。
「自分が怖い話をすると咳が止まらなくなる」という理由で、怖い話はしたくないとのことでした。
「なんだよその理由w」と仲間たちから笑われ、タケオもその時はウケたのが嬉しくてニコニコしていたそうです。
ある日、某心霊スポットにみんなで行き、そこで怖い話をしようということになりました。
廃墟と化したホテルで、壁に落書きだらけの地元のヤンキーの遊び場のような場所だったそうです。
その時、Yさんグループの他にいた地元の若者と鉢合わせをし、意気投合して一緒に中を探索することになりました。
ぐるりと中を巡り、一通り見終わったあと、Yさんたちは一階にある受付に集まって怖い話を始めました。
それぞれ持ちネタを披露し、とうとうタケオの番がやってきました。
タケオは嫌々ながらも怖い話をし始めました。
話の内容は、タケオの母親が恐怖体験をした墓地の話でした。
するとすぐに咳き込み、話の途中で何度も途切れるので、友人たちからツッコまれて笑いが起きてしまいました。
おかしいな…ハハハ…と誤魔化すタケオでしたが、申し訳なさそうに咳き込みながら話を続けました。
するとだんだんゴホッゴホッとタケオの咳き込みが激しくなり、異様な雰囲気に気付いたYたちがタケオを心配していると…
「あ”あ”あ”!!ゴホッ!!」
タケオの口から「長い黒髪」が飛び出してきたのです。
その髪は丸く固められたダンゴ状だったそうです。
それ以来、Yさんたちはタケオの前で怖い話は一切しなくなりました。
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