赤いランドセルの少女
投稿者:紗英 (6)
子供が好きな私は、将来の職業は教師になろうと思っていました。
そんな夢を持っていた私は実際には残念ながら、ごく普通のOLとして日々過ごしていました。
そんな4月のある日、ちょっと変わった夢を見たのです。自室で寝ているとベッドの周りを誰かが小走りで走っているようなバタバタバタという音で目が覚めました。
部屋の中を走り回っているのが子供だと解った時は、わけがわからず鍵をかけた部屋のどこから入ってきたのか混乱していました。
そのうち、すぐにこれはおかしいと気がついたのです。走り回っている子供はおかっぱ頭の女の子で背中にはぴかぴかの真っ赤なランドセル。
半袖のピンクのTシャツには今流行りのアニメのキャラクターがプリントされています。
そのうちその女の子は走るのをやめて、いつの間にか私のすぐ傍にピタッとくっ付いていたのです。
正直怖くて逃げ出したかったけど、動くとよくない気がしてじっとしていました。
女の子は私の顔を覗き込むようにして「ねえ、ねえ、教えて、教えて」と言っていました。
勇気を出して薄めを開けたらそこには大きな目をした女の子の顔が。
小学1年生くらいの子供にしては少しやつれたように見えます。
そして再び「ねえ、ねえ、教えて、教えて」と。
私はまた目を閉じてなんとか早くどこかに行って欲しくて、なぜか心の中で「ごめん、ごめん」と言っていました。
そのうちに眠りに落ちたのか気がついたら朝になっていて、起床の時間でした。
昨日のあの子はなんだったのかしら。座敷童?夢?などと考えながら出勤の支度をして駅に向かいました。
その途中、いつもの開かずの踏切に捕まってしまいました。この踏切は一度閉まると10分くらい開かない有名な開かずの踏切。
しまったと思いながら電車の通過を待っていると、そばにいた主婦2人の話が耳に入ってきました。
それは3日前にこの踏切で起きた悲しい事故のことです。遮断機が降りてきている踏切に、先に渡った友達の後を追いかけて線路に入った小学生の女の子が電車にはねられた事故の事で、その子は近くの小学校にこの4月から通っていた新入生の女の子。
事故現場には真新しいぴかぴかの赤いランドセルだけが無傷で転がっていたという内容でした。
私はその話を聞いて凍りつきました。ぴかぴかの赤いランドセル、昨日のあの子だ。
遮断機が開いて皆が渡り始めている踏切の手前で、金縛りにあっている私の傍にいつの間にか赤いランドセルの少女がしっかりと私の手を握って立っていたのです。
そして「ねえ、ねえ、教えて、教えて」と大きな目で私の顔を覗き込んでいたのです。
その後どうなったか気になる・・・
起きていても金縛りに会うなんて❗