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Airさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

お地蔵さんの前かけ
短編 2021/08/15 19:03 1,260view

これは私の母が子供の頃の話です。いまから50年近く前、当時小学4年生だった母の家庭科の授業で裁縫をして家族にプレゼントをするという宿題があったそうです。
何を作ろう、誰に贈ろうと考えているうちに思い出したのが、通学路に立っているお地蔵さん。そのお地蔵さんがつけている前かけは、風雨にさらされてボロボロだったそうです。
母は黄色い前かけを作り、そのお地蔵さんにかけてあげました。

その日からです。
毎晩のように金縛りに遭うようになり、ぼんやりと影のようなものが母の耳元で「ずっと、ずっと見てるからね」と囁くようになったのです。その声は、ほとんど息のようなもので男性か女性かもわからないそうです。
恐怖のあまり自分の部屋で寝られなくなった母を心配して、祖母が著名な霊媒師に相談したこともあったそうですが、その霊媒師は困ったように「お地蔵さんがこの子の優しさに喜んで見守ってくれてるだけ。こだわりが強い霊だから無理にどうすることもできない。悪いものじゃないから、心で感謝を伝えてあげるとそのうち離れていくと思う。」と言ったそうです。
それからしばらく、霊媒師のアドバイスに従って、お地蔵さんにお酒やお花のお供えを続けたようです。
その経験からか、母はお地蔵さんを見かけるとなるべく目を逸らすようになったと言います。
「それで、そのお地蔵さんの霊はいつ離れたの?」私は母にそう聞きました。
すると、母は少し困った顔をして「ううん、まだよ」と。

「ずっと、ずっと見てるからね」その言葉は今も守られているようです。

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