深夜にうずくまる人影
投稿者:春夏冬 (1)
小学5年から中学3年までの間に住んでいた家の話です。
すごくすごく山奥の集落で廃墟も数件見られるような少数の村でした。
我が家は賃貸の家で目の前には草むらの中に大きな日本家屋が2件あり、両方とも廃墟で人が住まなくなって数年放置されたような感じでした。
廃墟の2件のそれ以上先には山が広がっており、ハイキングなどの道はなく人が立ち入る事ができないような場所で、その山の入り口にかなり古く人の参拝がなく手入れもされていないお寺があるような所でした。
自宅は昼間でも山影で薄暗く湿っとした場所で家の中もジメジメしており、箪笥の中などに布団をいれっぱなしにしていると湿気が強くカビがはえてしまうような家でした。住み始めてから何度かいろいろな経験をしましたが、一番不思議な事は中学2年になった頃の出来事です。
その日いつものように自室で寝ていると夜中に胸をかなり強く何度も叩かれました。衝撃も感じたのですが不思議と痛みはなかったです。隣の部屋に寝ている兄が何かあって私を起こしているのだと思い、暗闇の中、目を開けて「なに~?どしたん?」と目をこすりながら起き上がると部屋の片隅に膝を抱えこんでうずくまる人影がありました。
真っ暗な部屋でしたが人影だけはしっかりを見えていました。私はその人影を兄だと思い込み何度も「なんかあった?なんやねん?」と話し掛けていました。その時も叩かれた感触は残っており、人以外のものであるという認識は全くしていませんでした。
その人影はこちらに背中を向けて膝を抱えて座り込んでおり、何度呼びかけても返答はなくずっとうずくまっていました。さすがに私も大事なのかな?と思い起き上がって電気をつけた瞬間人影が消え部屋のどこを見ても何もいませんでした。誰かが部屋を出て行った形跡もなかったです。
その後私は何故か冷静で、しばらく胸が叩かれた意味を考えましたが、まぁいいかと思い再度眠りにつきました。翌朝兄に起こしに来たか聞きましたが、もちろん知らないと言われました。数年たった今でもあの時の人影と胸の痛みはしっかり覚えています。
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