お風呂ののぞき魔の正体
投稿者:半田鏝 (6)
人が怖い話なのか心霊系の怖い話なのか…未だ謎の話です。
私の一家は区画整理で現在の家に引っ越してきました。
区画整理の対象となったのは私の家を含む5つの家でしたが、引っ越す時期にはかなりばらつきがありました。私の家の裏に住んでいた家族はかなり早い時期に引っ越し、家も早々に取り壊して綺麗な更地になりましたが、私の家を含んだ残りの4件は、その後もしばらく同じ家に住み続けました。
そんなある日、私がお風呂に入っていると、何か視線と言うか…気配のようなものを感じました。ん?と思って顔を上げると、窓の外に人の頭のようなシルエットが見えました。
思わず「わぁっ!」と色気のない声を上げると、そのシルエットは横にシュッと引っ込み、再び現れることはありませんでした。
私は体中に鳥肌が立つのを感じながら、急いでお風呂を出て体を拭きました。そして、リビングにいた母に言いました。
「ねえ、のぞきがいたかも」
母も気味悪そうな顔をしていましたが、もう暗いので外に様子を見に行くのはやめにしました。そもそも窓を開けられたわけでもなく、刷りガラス越しだったので、向こうから何かが見える訳はないのです。私たちはお互いにそう言い聞かせました。
翌日の朝、私はドキドキしながら家の裏手を見に行きました。1晩経っているのだから、そこにのぞき魔がいるはずはないのですが、確認せずにはいられなかったのです。
そして固まってしまいました。
そこは、人が立って風呂場を覗けるような状態ではなかったのです。
裏手の家は元々、私たちの家よりも一段低い場所にあったので、更地もその分低くなっています。そして私たちの家の裏は、幅数センチの段差を残し、ちょっとした断崖のようになっていました。
風呂場の窓がある箇所は平面で、人が手でつかめるような突起物はなし。
のぞき魔は幅数センチの段差につま先をかけ、掴むものもない壁にどうにかはりついて風呂場を覗く執念の持ち主だったのでしょうか…幽霊のほうが自然な気がしてしまいます。
数センチ?