イタチ村
投稿者:藤野 (11)
俺の住んでいた村には、ある怪談があった。
イタチ様を怒らせると、その家の血を根絶やしにされると言う怪談だ。
イタチは養鶏場の鶏を襲うとき、自らが食べなくても全てを殺す残忍な性質を持っている。
それに似ているからなのかなんなのか、村ではイタチをイタチ様の使いとして絶対に殺さなかった。
例え大事に育てていた鶏が、たった一夜にして全滅させられたとしても、イタチ様に貢献できたのだと泣きながら喜んだ。
そして、イタチは狩猟の対象でも無かった。
俺はよくお袋に「早く寝ないとイタチ様が来る」や、「いい子にしてればイタチ様は何もしてこない」など、散々言う事を聞かせるためにイタチ様を使われた。
他の家の子供もそうだった。だから、子供は皆イタチ様を嫌っていた。
だがある日。特にやんちゃで手のかかる、吉田と言う苗字の奴がイタチを殺した。
その時は、何も起きなかった。
「なんだ、やっぱり嘘じゃねえか」
確か吉田はそう言って、家に帰ったはずである。
問題は次の日だった。
吉田は学校に来なかった。
俺は家が近かったから、給食のみかんを持って吉田の家へ向かった。扉を叩いても、返事がしない。
すみませんと言ってみても、物音ひとつしない。
その時、ガサ、と茂みで音が鳴った。
俺は振り返る。キラリと光る何かが見えた。
イタチだった。その不気味なほど細長い体をぐにゃりと曲げて、つぶらだけど怪しく光る目を俺に向けて。
恐ろしくなって玄関に目を戻すと、玄関から沢山のイタチが出て来ていたのだ。
赤いどろっとしたものを足で伸ばしながら、大量のイタチが。
俺は叫んだ。叫んで逃げた。
吉田はきっと死んだんだ。イタチ様に殺された。
何度も何度も心の中で言って、家に着くとお袋にその事を伝えた。確か、その後お袋は血相を変えてどこかに行ってしまう。
結局、吉田は死んでいた。吉田と言うより、吉田家全員が。離れたところに住んでいる、あいつのいとこも、祖父母も全員が死んだらしい。
俺は物凄く恐ろしかった。その後は毎日早寝早起きするようになったし、勉強もするようになった。お袋も、あの出来事以来イタチ様で脅しをしなくなった。
恐ろしかった理由は吉田の事件だけではなく、それ以降ずっと俺に一匹のイタチが付き纏っていたことだ。
俺は、吉田の仲間だと思われているんじゃないかと気が気がじゃなかったが、ある日それが勘違いだと気づく。
すき
シレンとコッパのなれそめ
ヒタチ村でもヒタチをバカにしたら家族全員絞められます
イタチかあ
信仰の対象にしている地域って実際にあるのかねえ
養鶏場が襲われても猟の対象にできないってよっぽど地域の文化に根差してないと難しいと思うが
もしや四国かな?
良