事件記録:行方不明事件について
投稿者:藤野 (11)
資料1
M市に住む吉田菜津とその妹の波瑠は、五月四日に行方不明になっている。
彼女達はその日、山の近くの公園に母親と遊びに来ていた。
少し前までは二人で仲良く遊んでいたのに、目を離した隙に一瞬にして消えてしまったと親は話している。二人は決してやんちゃではなく、むしろ大人しい方で、今まで目を離した隙に走り出したりしたことなんて一度も無かったと母親は言う。
彼女達はまだ見つかっていない。
この事件に関して近隣の住民は神隠しだと口を揃えて言っている。
資料2
近藤直矢はここで息絶えていた。第一発見者の近藤和子は布団の上で仰向けになって息絶えている直矢を五月六日に見つけている。
死後数日経っていた死体は悪臭を発しており、それにより部屋の外にいた和子が異変に気づいた。
和子は庭の物干しで首を吊り自殺したと思われる。遺書があり、そこには直矢の死亡により自分がおかしくなってしまったと記されていた。
第一発見者は七月七日に首を吊っている和子を発見しており、死体の状態から和子は前日に自殺したと思われる。
二人は結婚して数十年の夫婦で、和子が後を追ったことからも分かるようにかなり仲が良かったらしい。家は山の中にあり、あまり二人が近所付き合いをしなかったため、周囲の人達の詳しい噂などは無い。
どちらの両親も他界している。
和子の友達から聞くには、和子が友達と旅行に行っている間に直矢は死亡したと言う。
帰ってくると部屋から悪臭がして……と、直矢の死に気がついたようだった。
資料3 (録音されていた音声の文字起こし)
(少しの間はセミの鳴き声と木の葉が揺れる音のみ)
……音、入ってる?
……入ってるよね、多分……。まあ入ってないと困るんで……何回かに分けて録音します。
私は今、ある家の玄関の前に立っています。まずここで、なぜ私がここに来ることになったか、この音声を録音しているかをお話しましょう。そこで一度録音を終えて、確認することにします。
私は某大学に通う男子生徒です。一応苗字だけ言っておきましょう。山中です。珍しい苗字ではありませんが、ここで何か事故があれば私の身元が特定できるように言っておきます。
……で、ええっと、本題に移りましょう。
私はある事件を不審に思い、個人的に調べているんです。
そこそこ有名になったんで分かると思うんですが、吉田菜津、波瑠の神隠し事件。
誘拐か迷子か分からないにせよ一瞬にしていなくなったやつですよ。
行方不明になった日が五月四日。それで、今私の目の前にある家に住んでいた男性が五月六日に亡くなっています。
夫婦で住んでたらしくて、奥さんが友達と旅行している間に亡くなっていたらしいんです。
面白かったです
もう少し歴史的背景や不快描写を掘り下げられたら、「みさき」「けりよ」に並ぶ名作になるかもしれないですね
やっぱ「みさき」思い出すよねえ
思いのほか録音の文字起こしが臨場感あって良かった
面白かったです。読んでいて気持ち悪くなるぐらいにはリアルな描写だったし、筆者はこれが実話でないにしても似たような経験がある?
不思議と引き込まれていった。主の文才が凄すぎる。ハッとするなぁ
PVの読書バージョン?
幽霊の鬼を、物理的に閉じ込められるの?
単独行動して攫われた人について、どうして村人は鬼をのせいだと分かったんやろ。
地下部屋から女が居なくなったと村人はなぜ分かるの?
音声部分はリアリティあったけど、解説部分はご都合ファンタジーでよく分からなかった