第一章
今話題のアニメの限定ノベルティがもらえる特設会場の熱気の中で、私は何の疑問も抱かずにペンのインクを滑らせていた。
特にその作品が好きな訳では無いが、姪っ子が好きだと言っていたのを思い出し、ちょうど人が途切れていたのもあって列に並んだ。
アンケート用紙には、協賛企業についての質問がいくつか並んでおり名前、そして住所の記入欄があった。
ただのノベルティ目当ての、どこにでもありそうな日常の一コマ。
書き上がったアンケートを係員に渡し、ノベルティを受け取る。
その後、買い物を終え、上の階にあるフードコートで冷たいドリンクを飲んでいたときだ。
少し離れたテーブルにいた三人組の女性たちが、こちらをチラチラと見ながらコソコソと話していることに気づいた。
やがてそのうちの一人、小柄な女が立ち上がり、一直線にこちらに向かって歩いてきた。
「あの……〇〇さんですよね!?」
突然、よくわからない名前を突きつけられ、私は困惑した。
「え?すみません、なんて言いました?」
聞き取れずに、問い返した。
「〇〇さんですよね?」
改めて、よくわからない名前を告げられた。
「いえ、違いますよ」
私は否定して手を振った。
えっ?という感じに戸惑いを覚えた顔をして、その女性は友達を振り返った。
なんだか気まずそうな空気が流れ、すみませんと言って女は友達の元へ帰っていった。
バツが悪そうな3人はフードコートから立ち去っていった。
なんだあれ?と思って私は首を傾げた。
ふと視線を感じ横を見ると、隣の女性が複雑な顔をしている。
彼女と目が合い、なぜかピンときて
「もしかして……?」
と女性に声をかけていた。
彼女は戸惑ったように不自然な笑みを浮かべ、何も言わず首を傾げた。
スマホがブルっと震えた。
私はそれを手に取り、画面を開いた。
見ると居酒屋からの広告メールだった。
なんだと思って、ついでに他のメッセージやSNSをいくつか確認した。
気付くと隣の女性はもう居なかった。
























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