朝から雨がチラついたせいか、埼京線の車両内はジメジメとした湿気と熱気を帯びていた。
いつもの満員電車。
違うのは、運よく座れたことくらいだ。
左隣には、ペールカラーのスーツを纏った、歳のころ26才くらいのOLが腰掛けていた。
ほんのり香る柑橘系のフレグランスが、清楚な出で立ちと相まって、よりいっそう彼女の清潔感を高めている。
くっきりとした二重瞼に、ほどよく長い睫毛。
人の世の邪悪など、一欠けらも感じさせない澄んだ瞳。
ひしめき合い、酸素不足の汚れた車両内で、鮮やかに咲いた一輪の花。
癒しさえ感じていた…。
快速列車が停車駅を迎えた頃、日頃の疲れが溜まっていたのか?
いつしか彼女は深い眠りについてしまったみたいだ。
その前に立ちはだかる中年男の姿。
見上げるその出で立ちは、汚れたニッカーボッカのチャックは半開き。
だらしなく突き出た腹部。
薄毛の額に汗を滲ませ、吊り革にぶら下がり寝ている様子だ。
かたや眠れる森の美女。
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